アニメ第47話2009/03/01

吹きすさぶ風がよく似合う、九人の戦鬼+隊長

 過去と未来・現在が交錯して、子供時代の終焉を予感させるという、前回とは打って変わったシリアス回。エンディングのオルゴールが本編に登場、曲はイメージ通りのトロイメライで嬉しかったです。ちなみに戸松遥さんは曲名をご存じなかったそうで、妙な発音をしてしまってスタジオを湧かせたとか(笑)。いや我々・中の人ファンにとってはそれ、萌え要素なんで、オッケー、ドンマイ!

 兵部は原作よりイイですね! 葉と紅葉にコーディネートされるシーン、絵にも遊佐さんの声にも萌えました(乙女回路作動中)。アイキャッチも可愛かったですよね!

 今回のエピソード、猪爪さんはワタシ以上に原作を咀嚼してプロットやシーンの意味を汲んでくださったと思います。ワタシが「基本的に暗い話なんで、TVアニメとしての派手さが欲しいです。兵部とのバトルはチルドレン三人一緒にしてはどうでしょう?」と提案したところ、「薫と兵部のバトルは、二人の秘密の愛の交歓です。二人っきりがベスト」と指摘していただいて、ああ、なるほどと。ワタシは自分の描いたものについて、かなり分析的に考える方じゃないかとは思うんですが、それでも天然でやってる部分も多いので。

 で、最終的に<兵部はサディスティックに薫の成長を味わってバトルを楽しむ。薫は皆本への裏切り行為の埋め合わせとしてリミッターをとり戻し、兵部は最後の瞬間に手加減して身を引いて、この二人の関係も壊さずに維持>・・・という流れに

 とまあ、そのあたりは一生懸命セッションしたんですが、今回紫穂が「パパ」ではなく「お父さん」と呼んでて、そこは我々のケアレスミスですね、すんません(^_^;)。

 兵部の上官「メガネの隊長」の声はまたまた四宮さん。素敵だ・・! 本当にヒキダシが多い、スゴイ人です。クレジットされない役が多くて申し訳ないのと、もっとやっていただきたい気持ちでいっぱいです。ちなみに四宮さんは、中学生の頃、盲腸で入院中に『㈲椎名百貨店』を読んで、それ以来ファンでいてくださったそうです。
「手術の傷がまだくっついてないのに4コマで爆笑しました」とおっしゃってくださって・・・嬉しかったけど、すんげえ痛そうで、なんか申し訳ない(笑)。

 監督によると今回の作画を担当してくださった座円洞さんは、非常に安定した品質と堅実な仕事をしてくれるスタジオとのこと。が、このエピソードではかなり枚数オーバーしたそうで、地味な箇所にも手がかかってます。食事や着替えなどの生活描写を積み重ねるのはアニメでは大変なんですね。

 次回は澪を初めとするパンドラメンバー、そして第三の<黒い幽霊>・あの娘が登場!

ヤンデレのおともだちが怖くて眠れない :週刊少年サンデー09/15号2009/03/02

怖いよマジで(>_<)

 休載明けからの原稿、二本仕事中。iPodで朗読を片っ端から聴きながら作業してます。ゆかなさんが朗読している『時をかける少女』とか見つけました。延々とゆかなさんの声を聴けるのはかなりシアワセです。あ・・・なんか原稿からラベンダーの香りが。

 オーディオドラマでなく、ちゃんと小説をそのまま朗読してるやつが聴きたいのですが、まだタイトルが少ない。新潮社のCD・カセットブックなんかは作品も出演者もかなりイイんで、全部デジタル化して欲しいです。江守徹さんの朗読する山本周五郎とか、たまんねえよ? カセットのは持ってるんだけど、今もうデッキがないのです。



 さて、執筆中の新シリーズは「杉花粉を使うエスパーの攻撃」・・・っていう話なんですが(笑)、もちろんワタシがこの時期花粉症で苦しんでいるので描いたネタです。漫画の中は五月から六月頃なんですが、まー細かいことは気にしない。季節外れであることに作中で理由をつけてもいいんだけど、まどろっこしいし。ていうか眠い。鼻の下すりむけて痛い。

 ところで、ザ・チルドレン(平野綾さん・白石涼子さん・戸松遥さん)アルバム『LEVEL7』と、可憐GUY"S(いや正式にはそんな名前じゃないけど、こないだ酒の席でそういうことに(笑):遊佐浩二さん・中村悠一さん・谷山紀章さん)アルバム『UNLIMITED∞』のサンプルが届きました。どっちもすごい聴きごたえでしたよ。この人たちに出演していただけて良かった! そんで楽曲がどれも「番組テーマ、これでもよかったろ!?」という本気の作りで、キャラソンと思って油断してるとびっくりすると思います。買って損なし!!

 ちょっとだけネタバレすると、ザ・チルドレンは『MY WINGS』をはさんで、前半の子供から後半は大人のイメージに変化。可憐GUY’S(仮名)はバッドエンドが実現した世界での、お兄ちゃん三人のドラマ(!)仕立てという、二枚とも凝った構成。しかも薫と皆本の曲はこれ、対になってるのかな? ジェネオンさんが本気で『絶対可憐チルドレン』の世界を大事にしてくださってることが伝わる名盤です(俺的に!)。作品と中の人、どちらのファンにとっても満足していただけると思いますので、ぜひよろしく。
 

アニメ第48話2009/03/08

髪型が801ちゃんに似てると気づいてしまった…

 薫が幼少時のこだわりを乗り越えて、未来に向けて歩き出す・・・という回。チルドレンの成長のためには必要なプロセスだと思うのですが、自分ではちょっとテーマがナマで出過ぎて重くなったかなと反省してるエピソードです。アニメ版では、ナベシンさんの軽やかな演出がそこをカバーしてくれました。かなり長い原作を短くまとめてて、ざっと見る分には賑やかなバトル回、じっくりみると意外と深い、みたいな良回になっているのではないでしょうか。長森さん+玉川さん作監の作画も素敵。ありがとうございます!

 <黒い幽霊>の子供たちは、過保護・過干渉な歪んだ親の愛情にとりこまれた、自分の人生を歩む力がない、ダメな「いい子」のメタファーですね。パティもこの後、ティムやバレットと同じく残念なことになるのですが(笑)、それはまあ「未熟ながらも自分の世界を持ち始める」ということでもあります。

 薫の母親は包容力にやや問題があります。ただし、誰しも母親として完璧にはなれません。みんな元々はただの女性で、母として努力しているだけなのですから、難しい子供を持てば未熟な面が露わになって当然です。

 かーちゃんは彼女にできる精一杯のことをしてくれてて、薫はそれに気づく。で、欠けてたピースはそれを人に与えるという形で薫自身で埋め、人間として成長し、バランスをとっていくと。兵部が言うように、それが女王の資質であるというのがワタシの解釈。
 パンドラは「不良少年の集団」で、それも結局は<反抗>という形で親に縛られ、愛情と理解に飢えてます。だから女王を求めていて、そんな彼らを、薫もまた必要とする・・・みたいな。
 
 ねーちゃん役の國府田マリ子さんの他、パティは小林沙苗さん、カガリは入野自由さん、カズラは加藤英美里さんという豪華ゲスト。みんなかっこよくて原作者大満足です。例によって「あああ、もっと出て欲しいー!!」なカンジ。特に小林さんにはいつか、ダメになったあとのパティも演じていただきたいですね(考えてみればねーちゃんも最近の原作ではダメになってたよーな・・・4コマは危険だ)。

 釘宮理恵さんには、これまでさんざっぱらアレなセリフを言わせて本当に申し訳ない。ああいうセルフパロディーは嫌がる人と楽しんでくれる人とがいて、彼女がどちらなのかはワタシには不明・・・っていうか、今さら怖くて訊けんわ(笑)! 先日お会いした折、一応謝るだけは謝っておきました(^_^;)。

 次回は皆本ハーマイオニ登場! 声はまたまた釘宮さん! 声優アワード・主演女優賞おめでとうございます!!

漫画家として軸がぶれている :週刊少年サンデー09/16号2009/03/09

この二人も参戦

 いやーまいった。例によって執筆中にバーンアウトして、一コマも描けない状態に。ネームはできてるんだから、何も考えず作業すれば良さそうなモノですが、やろうと思って一日中机に向かってて、でもペンを持つと力が抜けるという。

 で、ステータス回復のため、やっぱり例によって部屋に閉じこもって、プロジェクターでアニメ『絶望先生』のDVDを全巻一気見。疲れたときには『絶望先生』が無性に見たくなるようです(笑)。ネタが濃いので、一本で他のアニメ数本分、あっちの世界に行った気になれるってのがイイみたい。つーても全編はけっこうな尺なので、こっちの世界でも二日くらいは惚けていたわけですね。そういうこともある。ってか、年に数回こういうのは普通。

 この2ヶ月ほどかなり無茶なスケジュールで頑張って、最後にアニメのアフレコ最終回にお邪魔したりしたので、気が抜けたのでしょう。そらもー素敵な一日だったんですよ(*^_^*)。だもんで、一時的にワタシの中の何かが成仏したとしても、多少はしょうがないっつーか。音響関係者打ち上げの模様は、すでに声優さんたちのブログでちょこちょこ紹介されてます。ただし、ワタシの話にはネタバレも含まれますので、最終回オンエアまで伏せておきますね。

 あ、そうだ、そのとき井上麻里奈さんにお会いして、「うわー千里ちゃんの中の人だ! この人が『許さ・・・ぬ!!』とかゆってたのかー」とこっそり大喜びだったのですが、今回チェックしてみたらそのセリフはアニメには一度もなかった(笑)。原作を読んでいても思いっきり役者さんの声が聞こえていたわけで、そっちもかなり重症です。いや、マジでそのセリフ、頭の中で音が再生できるもん。あるよね、そういうこと?

アニメ第49話2009/03/15

等価交換だよ兄さん

 釘宮理恵さん声優アワード主演女優賞受賞記念として(ウソ)、釘宮さんがひとり三役です。演技へのアプローチは人それぞれですが、彼女は役にチャネリングして入り込むタイプだと、ラジオか何かで聴いた覚えがあります。頭で作って声色を変えるのではなく、ちゃんと魂が切り替わってるのがわかって、すげえと思いました。

 あと、個人的に今回は白石涼子さんの「女の勘ナメてるやろ?」~「センセはどっち!!」にもゾクゾク もとい、ぐっと来ました。これもハーマイオニ効果でしょうか(笑)。ハーマイオニというのは・・・・・・・・えーと、「綾崎ハーマイオニ」というのが『ハヤテのごとく!』に出てきててですね(めんどくさいので以下略)
 「皆本ハーマイオニと名乗るんや!」は原作の段階から白石さんに言わせたくて書いたセリフだったのですが、このシーンに釘宮さんも絡んだのは予想外(笑)。監督、さすがです。あと畑先生、いつもいつも乗っかってすいません。

 さりげなーく紫穂の「たすけて、ぬ~べ~」も原作のまま入ってましたね(笑)。無断ですいません、真倉先生、岡野先生。岡野先生とは一度、家族ぐるみで食事したことがあります。90年代にオカルト漫画を描いていた仲間のよしみというか。そのうち『地獄先生ぬ~べ~対GS美神』とかどうですか、東映さん(笑)?
 そしてその後、やっぱりさりげなーく紫穂が手にしていたトゲトゲバットは・・・・すいません、おかゆまさき先生&とりしも先生。執筆当時ハマってたもので。今回、千葉さんもいらっしゃいましたしね!
 あと、美鳥ちゃんのストラップは、アニメスタッフが仕込んだ谷山紀章さんつながりの中の人ネタですね。賢木がアレを使うとはとても思えませんが(笑)。井上先生すいません。


 非常に物語の密度が高く、30分とは思えない内容でした。なのにバタバタしてる感じもなくて、サスペンスと萌えが詰まってます。

 原作からの大きな変更点は「記憶強盗」がユーリになっていること。原作では記憶強盗のキャラは掘り下げず、事件のための装置としました。それよりも、子供に戻ったことを徹底的に楽しげに見せることにページを割き、皆本の心のゆらぎを最優先で描写したわけですね。あれはあれで、かなり気に入っている出来です。なにせ、小学生編の最終回。納得いってなければ卒業は延期してました(笑)。

 が、アニメではそこに黒い幽霊を組み込んで、なおかつ原作で重視したパートはそのまま再現。猪爪さんの手腕はちょっとハンパないです。さらにテレビシリーズのクライマックスとして、バベル・パンドラ・黒い幽霊の総力戦の様相も呈してます。このエピソードの主題を語る上でも美しい脚色で・・・原作でもこうだったような気がしてきました(笑)。この事件をきっかけに、ユーリはチルドレンへの執着を持つようになったとか、美しいです。単行本が出る前だったらアニメに合わせて改稿してたかも。

 主題については次週明らかに。兵部の狙い、そして皆本とチルドレンの決断は・・・・。