BRIGHTEST LIGHT♪ :週刊少年サンデー13/10号2013/01/31

『THE UNLIMITED 兵部京介』
公式サイトはこちら


今日は漫画関係の更新です。でもアニメに関連して、各話解説に入りきらない話を。

 これまで原作を知らなかったけどTVアニメで興味を持った・・・・というみなさまありがとうございます。「うっすら名前くらいは知ってた」という方は、アンリミを見るとチルドレンが育っているので「あれ?」と思うみたいですね。そうなんです、あの子たちいま漫画では中学生なんです。前のアニメも最終回は小学校の卒業式で終わってます。

 キャラはずっと子供のままにしてた方がイメージアイコンとしてはいいだろうとは思うのですが、私にとって子供というのは「いずれいなくなってしまうからこそ愛おしい存在」なので、前回のアニメが終わるタイミングで中学生編に突入しました。絶チルは私の『赤毛のアン』なのです(笑)。
 『UNLIMITED』は前作『絶対可憐チルドレン』の続き、原作の卒業式~兵部の帰還までの間のお話です。細かいとこでいくつかパラレルワールドになってますけど、それはあんまり気にしないように。


 さて、今回のアニメシリーズは外伝作品なので、「作風が違う」と言われまくってるのはまあいいです。ていうかもうめんどくさくなってきたので、今後は「そおかなー? センセイ前のアニメもアンリミも原作も見分けつかないけどなあ?」とボケようかなと。

 ただですね、「設定のセンスが古い」っていうご意見に関しては、それはたいへんごもっともで的を射ているとは思うのですが、なんかこう、釈然としないというか(笑)。
 だって絶チルの作品世界は、横山光輝、石ノ森章太郎、藤子・F・不二雄、萩尾望都、竹宮恵子などの作品群へのオマージュでして、それは私にとってもアニメスタッフにとっても懐かしいものなのですよ。だから「べべべ別に最先端の設定を一生懸命考えたとかじゃないんだからねっっ!?」って思っちゃうという(笑)。
 いやもちろん、そういう作品を知らない世代のフィールドにも、絶チルが踏み込んでいるからこそ言っていただける感想だとは思ってます。あと私の世代はギリギリ、戦後の漫画・アニメの歴史を俯瞰できましたが、今の子にはそれは難しいですしね。

 漫画やアニメでは多くの場合、「こんな超能力がある世界」を描きます。でも私の場合「漫画やアニメのような超能力は現実には存在しない」というのが前提。その上で「じゃあもし漫画やアニメのような超能力が本当に存在したら」という話を描いてて、それは似たようなもんなんですけど、やっぱりちょっと違うのですよ。その結果、<僕の考えたカッコイイ超能力>ではなく、<昔懐かしい、超能力もののクラシックなスタイル>をモチーフとしました。

 味つけがどうあれ、思春期の少年の中二的な全能感と自意識の葛藤が、「超能力モノ」の根っこにある共通の主題だと私は思います。そして、設定の部分をシンプルでクラシカルにすることで、主題がより普遍的なものとしてアピールできるんじゃないかなー・・・・みたいな。アニメにしていただけた今、ちょっと後悔しないでもないんですが(笑)、私が元々そういうスタイルの方が好きだし得意なのでしょうがない。そういや芥川龍之介も作品発表当時、古典を題材にしたら「新しさがない」みたいなことを言われてたそうですよ。あ、一緒にしちゃいけませんか、そうですか。


 ちなみに連載開始当時にもお話ししたんですが、ザ・チルドレン自体が<超能力がないバビル2世>と、<言うことをちっともきかないみっつのしもべ>という見立て。そのライバルキャラである兵部はもうちょっとストレートに<ダークサイドに堕ちたバビル2世>で、部下の真木・葉・紅葉はそれぞれロデム・ロプロス・ポセイドンのパロディです。黒づくめの真木、音波使いの葉は鳥の羽とトサカのような髪型がトレードマーク。紅葉は長身で、テレポート応用能力で空間を操作して馬鹿力を発揮します。兵部にはバビル2世以外に東丈、エドガー、ソルジャー・ブルーも入ってますが、なぜかジルベールが混じってますね(笑)。

 あとキャラの名前の多くは源氏物語の登場人物や帳の名前にちなんでます。これはまあ、「美少女エスパー育成漫画」ということで、源氏の君が紫の上を育てて嫁にしたこととひっかけてはいるんですが、特にそれ以上の符丁はありません。キャラの名前考えるのって結構大変なんですけど、絶チルは登場キャラが多いじゃないですか。最初の読み切り版ですでにメインキャラが6人。だもんで、源氏物語から名前を借りてくることで統一感を出してみたら、これが予想以上にいい案配だったもんで。

 偉大な作品を生み出してくれた大先輩たち、特に横山光輝先生、石ノ森章太郎先生、藤子・F・不二雄先生、萩尾望都先生、竹宮恵子先生、そして紫式部先生たちに感謝します。私の中では同じくらい偉大です。


コメント

トラックバック