奈落ふたたび:サンデーS 2024/10月号 ― 2024/08/24
琥珀と奈落の「もうひとつの決着」いかがだったでしょうか。「もうちょっとページがあれば・・」とは思いますが、このコミカライズはあくまでも『夜叉姫』がベースなんで、『犬夜叉』ネタはこのくらいのバランスがいいかもしれませんね。漫画用に構成をコンパクト化しつつ、そのついでにアニメではなるべく避けるようにしていた『犬夜叉」の後日譚的要素を、私の個人的な解釈や願望を交えてさりげなーく追加するという・・あんまりさりげなくないですが。いつもがっつりやっちゃってますが。
なぜ急に羽が舞っていたのかについては劇中ひと言も触れていないものの、あれが何かはわかる人にはわかってもらえる・・はず。描いた私は当然わかっているので、描きながら泣いてました( ;∀;)。
高橋留美子先生は「『私は風だ 自由な風だ』というセリフを書いたとき、神楽の死を予感した」とおっしゃってました。同じセリフを琥珀の力にしたことで、なんだか二人に愛情を込めてハグできた感じ。技術的には自分の漫画でも同じように構成を考えて物語を作っているわけですが、ファンとして読んでた作品に、しかも原作者チェックを受けつつ公式にこういうことができるというのは魔法のようです。二次元に行く魔法、それがコミカライズ。
高橋先生は金禍銀禍のエピソードを執筆した際、たぶんなんですけど某古典SF漫画の某エピソードをイメージされてたんじゃないかなと思うんですよね。昔の漫画には「双子の敵」ってのは必ず一回は出てくるお約束で、登場したときから「やられ役だな」ってのはわかるのに相方との絆が印象的な良エピソードであることが多かったと記憶してます。で、紅禍蒼禍戦の決着もそれ風の禍々しくも切ない感じを狙って・・・完成したあとになってじゃっかん『葬送のフリーレン』のアウラのイメージも入っちゃってるような気もしましたが(笑)。
TVアニメでは首を切り落とすという描写はきょうびなかなかできないんですけど、戦国時代劇らしいかなということでこの漫画では何度かやってます。『犬夜叉』の戦国御伽草子世界は、生々しい暴力の存在がちょくちょく描かれます。なのにかごめちゃんは怖い目に遭ってもさほど引きずることもなくけろっとしてて、そこがライト層向けのダークファンタジーとして秀逸。この虚実のバランス感覚こそが高橋留美子作品の真骨頂だと私は思ってて、同じことは出来ずとも姉妹作品として雰囲気くらいは出すべく首を斬ったり目玉や心臓をえぐったり頑張ってます。
ちなみに戦国時代の戦では取ってきた敵将の首を綺麗にするのは銃後を守る女性の仕事だったとか。敵の首は戦果の証拠で、倒した相手の位によって報酬が決まるわけですから、軍功褒章会議で見栄えがよくなるように整えるコツやテクニックもいろいろあったようです。死顔の表情で吉凶を占うこともあったとか聞くんで、もうなんか現代とは感覚が違いすぎて、私はそっちに住むのは無理すぎるんですけど。とはいえ自分を守ってくれる強くて可愛い半妖の恋人ができたらワンチャン(乙女)。