A Whole New World :週刊少年サンデー11/17号2011/03/13

 この原稿を入稿して一眠りして、地震で叩き起こされました。その後の惨状はみなさんご存じの通り。正直、漫画描く気にならないんですけど・・・「サンデーふつーに出すの?」と聞いたら出すそうです。

 あちこちでものすごい数の方が死んだり怪我したり家を失ったりしてる状況で、しかも原発がえらいことになってて、余震もまだ続いてます。こんな時に誰が誰に勝とうが負けようが犯人が逮捕されようがチューしようがどうでもいいような気もしますが、それを言ったら元々どうでもいいっちゃいいことなわけで、まー娯楽産業に従事する者の宿命というか使命というか。

 今の漫画の土台は、戦後の焼け野原で子供たちが手に入れられる安価で夢のある娯楽でした。戦前から漫画は愛されてましたが、あの時代にかっこいい未来を描いたからこそ、その後の大発展があったのではないかと思います。そんなわけでシラフで漫画描いてられないけど描かないわけにもいかないので、飲めない酒を飲みながら描いてます。


 ただ、現時点で「絵で被災地を応援」とかっていまいちよくわからないのね。自分の無力感を癒すために描くのはわかる。災害が一段落して、復興に向かいだしたらそれは応援にもなるかもしれない。でも現状では死者の数は何割も把握できてなくて、最終的には万単位になりそうだという。早く始めた方がいいかもなのですが、せめて収容できる遺体を全部収容するまではワタシはそんな気になれません、すいません。

 ベルリンの壁崩壊のときも阪神大震災のときも911テロのときもワタシは普通に漫画描いてました。しかし今回の震災はちょっと平常心でいるのが難しいと感じてます。とにかく今は、行方不明者がひとりでも多く無事でいることを祈ってます。