漫画で人は救えないけど :週刊少年サンデー11/18号2011/03/17

勇気が世界の闇を照らし始める

 今回は18号のトビラページを一枚まるごとアップ。オリジナルはモノクロなのですが、背景を差し替えてキャラの上に適当に色をつけてみました。震災前にラフは上がってたものの、描いているうちに出動するザ・チルドレンの後ろ姿にワタシのいろんな思いが乗っかったので。あの空の向こうにある現場で今この瞬間も戦っている、たくさんの人たちへの応援の気持ちをこめて。


 都内でも物資が品薄になってます。一時はコンビニの中が半分以上からっぽでした。なんだかね-。ものすごい無力感です。

 震災に対して何もできない・・・というより、こういうとき実質世の中には必要ない漫画を描くワタシってなんなんだろうなと。夜中に余震繰り返す中漫画描いてるとこう、無力感と絶望感が。でもまあ仕事はしなきゃならないということで、売れ残っていた梅酒を飲みながら仕事してたわけですよ。酔うとかなり気分良くなるし。でも弱いんで、ちょっとペースを間違えるとだるくなるという。

 で、酔い覚ましに近所をうろつきに出てみると、飲みに行く人も少ないようで、駅前なんかもしーんとしてます。ガソリンも品薄なので走ってる車もまばら。が、節電で看板のライトは落としているものの、コンビニは変わらず営業中。前日からっぽで閑散としていた棚に、もう商品がいっぱい。

 翌日の夕方にはまた商品が根こそぎにされ、でも夜中にはまた入荷。商品搬入のトラックが到着して、菓子パンやお総菜やドリンク類を搬入、それを商品棚の隙間に黙々と補充する店員さんを眺めてて「この人たちは今、街を支えているんだな」と思いました。

 生きてくためにはそんなに要らないたくさんの商品ですが、それが当たり前にあるということは素晴らしい。きっとそれは食品や雑貨だけでなく、ワタシが関わってる雑誌や漫画も同じです。あの棚を空っぽにしてはいけません。役に立つとか立たないとかではなく、それがある日常、そこにあるいつでも買えるという豊かさと安心感が我々の平和な日常なのです。そのためにワタシも戦おう。

 ワタシは元気をもらって仕事場に戻り、力の限りこのパンチラを描きました(←オチ)。


 そんなこんなで新エピソードは葵ちゃんと影チルがメイン。震災の被害に遭った人たちが今これを読むとも読んで楽しめるとも思いませんし、今すぐ人を元気にするほどの漫画はワタシには描けません。ただ、元気になったとき楽しめるものを目指して仕事して、ワタシはそれを届け続けます。