着つけは紫穂がやりました :週刊少年サンデー11/38号2011/08/03


 太平洋戦争の資料になるかと、トム・ハンクスとスピルバーグ制作のTVシリーズ『ザ・パシフィック』を見たのですが・・・・・・・・うわあああああ、あまりの凄惨さにやる気なくなった(´Д`)

 特に壮絶なのが終盤の沖縄戦で、民間人の死に方がもうヒドイなんてものじゃない。知識ではある程度知ってても、『プライベート・ライアン』『バンド・オブ・ブラザース』の手法で描かれると、臨場感半端ない。映画だとわかっててもトラウマです。
 そして海兵隊の一兵士の視点なので、ゼロ戦とか連合艦隊とかはほっとんど出てこず、そっち方面の資料としてはさして役立たなかったという・・・・・ちくしょう・・・ちくしょう。

 こういう映画ではぜひ俳優さんたちが衣装を着たままスタッフと一緒ににっこり笑って撮った記念写真とかNG集とか、それが作り物だとわかるものを見せていただきたい。というのも昔『火垂るの墓』のLDで、特典にアフレコ収録時の音声がついてたのね。節子ちゃん役で当時5歳だった白石綾乃ちゃんが監督と音響監督にディレクションされてて、あの声で「ハンバーグが好き!」とか言ってるのを聞いて、ワタシは「節子はあくまでもキャラなのだ」とものすごくほっとしたのですよ(笑)。いやまあ、無数の子供たちがあの時代には本当に犠牲になっていたわけですが、少なくとも映画の節子ちゃんはフィクションなのだなあと。


 さて、そんなこんなで超能力部隊編、いよいよ重要なピースであるキャラクターが全部出そろいます。そう、兵部たちと共に戦い、戦後にチルドレンたちとも一度出会っているあのお方。おっと、これ以上は言えねえ。


 

夏コミ行く人、がんばってねー :週刊少年サンデー11/39号2011/08/10


  超能部隊編・第一話が完結。なかなか気に入ったエンディングになったので、ぜひ読んでくださいね。お盆進行につき次の本誌原稿作業は一週間お休み。その間に単行本の作業です。


 さて、漫画家有志によるチャリティー同人誌『LOVE ACROSS JAPAN-日本中に愛を-』に寄稿してます。仕事モードの本気で描いた「ザ・チルドレン・リバース・アナザー」・・・はっきり言えば皆本・賢木・兵部の女体化バージョン(笑)のイラストが載ってますので、お買い求めいただけると嬉しいです。

 あと、こっちは詳しいことはよく知らないんですが、ま●マギの同人誌にも一点寄稿してます。アニメ関係者が作る「お疲れ様本」で、つまり公式が出す非公式本というよくわからないアレだそうで(笑)、たぶんコミケで売るんだと思う。

 ノリで「コ●ーちゃん祭り」にも一口噛んでたんですが、こっちは公式のイベントにはワタシはたぶん入ってません。担当者から「高解像度データを送れ」とか「承諾書にサインしろ」とか言われてめんどくさくなったので放置しちゃった。一応「遊びで描いた二次創作だし、一言声かけておいてくれれば何にどう使ってもいいですよ」とは言っておきましたが、それ以上はもういいやという。


 そーいやどうも二次創作の世界では「小学館は異様に版権管理に厳しい」というウワサが広まっているらしいですね。ウワサの原因が何で対応した責任者が誰かとかはワタシも編集者もよくわかりませんが、何かあったのだとしてもその後尾ひれがついたかどうかしたのだと思います。

 基本的に作品やキャラクターが愛されて盛り上がって嬉しくない出版社や漫画家はいないのですよ。もちろんものには限度があるし、ファンにも権利者にもいろんな人がいます。ワタシとしてもどんな人が何をするか分からない以上、その限度がどこであるとか事前に規定することはできません。そういうグレーエリアでの遊びであることすら知らない子ってのもいるし。

 したがって公式に「好きにやってください」とは言えないものの、小学館が他社と比べて特に厳しい独自の路線を持ってるってことはないのは確かです。作者の我々に無断で法的な措置をとったりするという話も聞いたことないので、同人誌に関しては通常の遊びの範囲でならそんなにはピリピリする必要はないかと。

 ワタシ的にはみんなが絶チルをネタに楽しんで盛り上がってくれるのは個人的に嬉しいなーと非公式に思ってますよ。ていうか、サークル数がタ●バニやまど●ギの半分くらい行っていただいても・・・・え、それくらい辛抱たまらんものをまず描け? ごもっともでございます。

十年後の八月まっ♪・・た出会えると信じて:週刊少年サンデー11/40号2011/08/25

 身体が仕事に耐えられなくなって、精神的にもキーッってなってきたので、緊急のガス抜きと運動不足解消に遊びに行ってきました。風光明媚で自然の多い場所で、東京近郊だけど軽く旅行気分が味わえる場所・・ってことで、目的地は荒川の上流、秩父の長瀞に決定。

 未明に車で秩父鉄道の某駅まで行き、始発から列車に乗ってうろうろしてたんですが、実にいいところでした。秩父鉄道自体が鉄道模型がそのまま運行しているような路線で、コレに乗るだけでもアトラクション気分です。川下りしたり泳いだりする余裕はなかったものの、ほどほどに暑い中、絵に描いたような景色をあちこちで楽しみました。

 ついでにアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のロケ地にもこっそり行ってみました。夏休みとはいえ平日なのに、ちょこちょこと同志がいたりなんかして気まずかったですね(笑)。ワタシ自身は普通の通りすがりのフリをしようとしたのですが、とあるお店のおばちゃんに一発でバレて「あんたもアニメ好きでここ来たの?」とか言われちゃって答えに窮しました。

 ワタシの脳内では脳内ぽっぽ「言ーえ!言ーえ!」と煽るのですが、脳内じんたんが真っ赤になって「だっ・・誰がこんなアニメ!!」と叫んだので、ワタシは「いえ全然知りません」と答えました。ふと脳内めんまを見ると・・・泣くかと思ったら、笑ってました。
「m9。゚(゚^Д^゚)゚。プギャーッハハハハヒャヒャヒャヒャ」
 ・・・本物のめんまはそんな笑い方はしない。

 アニメTシャツやグッズやプリントアウトした関係資料や妙に気合いの入ったカメラとか持って来てるわけでなし、普通の服装・態度のオッサンのつもりだったのにちょっとアレなオーラが出ているという事実。もうちょっと上手に擬態できるようになりたいので、とりあえず今後とも休みの日にはアクティブに過ごして、たるんだ体型や日に当たってない肌をなんとかしようと思いました。



 さて、アニメでは超平和バスターズの戸松遥さんと入野自由さんも出演してくれてる『絶対可憐チルドレン』、漫画本編は現代に戻って新エピソード。過去編が続いたので、次は少し未来について触れていきたいと思います。
 

シャーロッキアンとただのファンとの境界線はどこだろう :週刊少年サンデー11/41号2011/08/30

 NHKで放送したBBC制作『シャーロック』に激ハマリ。シャーロック・ホームズの物語を現代に置き換えたドラマで、「そんな無茶な」と思ってたらこれがもー素敵。

 驚いたことにキャラクター像はほぼ原作のまま。ワトソン博士は国連軍に参加してアフガニスタンで負傷した元軍医で、ホームズとは友人の紹介で病院の法医学研究室で出会う。ホームズの第一声は「アフガニスタン? イラク?」
 現代のホームズはインターネットやモバイルを駆使しますが、ワトソンに送るメールの内容が原作の電報文そのままだったり、「僕は自分の頭のハードディスクに余計な情報は入れない」とうそぶいたり、喫煙への風当たりが強いので思索の際にはパイプの代わりにニコチンパッチを使ったり。 女性嫌いのホームズがルームシェアするということで彼の知り合いに片っ端から恋人扱いされて閉口するワトソンとか、その負傷が実は肩なのにPTSDのせいで足が麻痺しているとか、ベイカー街221Bが作りは原作そのまんまだけど場所は今のロンドンのベイカー街を意識して都心部だったりとか、原作ファンがニヤニヤする描写の連続。

「ワトソンはただの狂言回し・引き立て役ではなく、その暖かい人柄がホームズにとっての救いになっている」というのが最近の解釈なのですが、それに加えて「ワトソンの心の中にも闇がある。ホームズと一緒に犯罪に惹かれ、戦うことで自分の闇と戦っている」「そのワトソンといることでホームズもまた闇にとらわれずにいられる」というところまで踏み込んでいるシナリオはマジ素晴らしいと感服しました。

 謎解きはリライトされているものの、事件も原作を土台にしてあちこちに仕掛けがあって「うまい!」と思わせる作りになってます。そして現代に移植したことで、ワトソンが体験した、危険な世界のエキスパートでありエキセントリックな天才であるホームズとの冒険を、我々もかつてない臨場感で体験できるという。どの事件もどこかユーモラスで非現実的でありながら、大都市に潜む殺人や暴力という禍々しさには妙な迫力と説得力がある・・・・・これはもう、19世紀末から20世紀初頭に読者が味わったテイストに近いのではないでしょうか。

 ただひとつ不満は・・・・第1シーズンは三話あるのですが、最終話のラストがものすごいヒキで終わってます。第2シーズンの放送はまだずっと先です。生殺しですよBBCさん( ;∀;)。





 さて、『絶対可憐チルドレン』本編は複数のドラマが同時進行中。キャラ多いわー。

 ワタシ的にはどの子もそれぞれに陰影や味わいがあるキャラとして愛情を注いで作ってますが、物語の責任者としてはライトを当てるべきときと引っ込める時を冷徹に選ばないといけません。キャラにはドラマの中で果たすべき機能というものがあるので、全員を掘り下げるわけにはいかないのが当然です。元々短編が好きなワタシはプロット至上主義で、その辺は非情にバッサリやってきました。しかしアニメになったとき、脇役にもいい役者さんが大量にキャスティングされて、キャラに対してちょっと甘くなっちゃったというか。そして読者はプロットよりもキャラクターが好きなんですよね。

 だからまあ構成もキャラ描写もどっちもがんばります。