まっとうな少年漫画っぽい絵面 :週刊少年サンデー12/46号2012/10/05

アニメ企画進行中です。


 さて、本編は<超能部隊編2>進行中。インパラヘン王国で起きた小さな事件に、その後の世界と登場人物たちの運命が実は大きく関わっていた・・・とまあそんな話をやってます。これまでちりばめてきた伏線や裏設定の答え合わせも多く盛り込んでて、私はこういう「あらかじめ決められている場面に、なぜ、どうやって至ったのか」という話はかなり好きです。最近の映画やアニメでも流行ってますね。きっかけは『スター・ウォーズ』エピソード1~3ではないかと思うんですけど。

 ところで、私は「最初にインパラヘン王国出したときからこのことは決まっていた」と言った方がいいのか「いやーまさかこんな重要な場所だったとは・・」と言うべきなのか(笑)。

 まあ正直言いますと、当時考えてたのは「象に乗った頭のおかしい外国のイケメン王子がやってきて、チルドレンがエキゾチックな国で日本の国益のために活躍する」というそれだけだったと言えばそれだけだったわけですが、じゃあその後のことはたったいま考えたのかというと、それもちょっとちがうわけです。

 当時すでにお馬鹿なプロットの中にも「歴史と現在は地続きである」とか「すべての世代で若者が未来を創っている」とかいう主題が入ってて、戦中・戦前のどこかで超能部隊があそこに立ち寄ったことは決まってました。だから掘り下げたらこういう話が出てくることは必然であると言えます。

 てことは作者の公式なスタンスをどうするかっていうのは、お客さんがどっちを喜ぶかという一点でどっちにも振れるのですが、これを言っちゃうということは私は「作者がこの世界の神であり全ての運命を完全に握っている」というフリはできないし、たぶんしたくないのでしょうね。

 私もまた絶チルの読者のひとりとして、登場人物や物語の行く末にはドキドキしていたいのですよ。でないと漫画描くのってしんどいじゃないですか(笑)。

 あ、でも今回登場するドクイツ第三帝国のエスパー、こいつは話の都合で急遽考えました(笑)。しかし、動かしてみたら兵部の可能性を暗示する彼の分身であることがわかったので、これもまあ必然的に登場した、折り込み済みのキャラクターであるかもしれませんね。

 

久しぶりにカラーもらいました :週刊少年サンデー12/47号2012/10/13

アニメ企画進行中です。


 さて、本編で活躍中のファウストくんはヒトラーの崇拝者で、ナチの思想にどっぷりかぶれてます。しかしこの漫画の世界では「ナチスドイツ」ではなく「ドクイツ第三帝国」。ナチというのはやっぱキャラが立ってて、物語では何かとネタにはしたくなるものの、ヨーロッパでは完全にNG。ヒトラーや鍵十字を漫画で出したら、あっちでは一発で発売禁止という厳しさなのです。

 歴史上存在したこと自体は否定しようがないわけで、漫画家としては歴史物を描く際にはそこんとこの大人の判断が必要になります。まあウチの漫画ではパロディーにしてコミカルにするため、「コメリカ合衆国」というのを出したという流れもあるので、登場する国名は全てがインチキな名前になってます。「エゲレス連合王国」「オフラーンス」「イダリーヤ」という具合。最後のは「ヘタリア」にしたかったけどこれはまた別の大人の事情でやめました(いや事情もなにも)。

 ドクイツ第三帝国総統閣下の名前はどうしても必要になったらテキトーに考えますが、現時点では「フトルヒ・フットラー」が有力候補。いや、すんげえ太ってるとキャラも印象が変わるかもしれないなと思って(笑)。
 ファウストくんが愛読しているであろう総統の著作の名前は、『闘争とわたくし』というのはどうでしょうね。『我が輩の闘争』だとちょっとヒネリが足りないような気がします。『ボクの闘争』にするとラノベっぽくてそれはそれでオカシイかな。いやもういっそ『俺の闘争がこんなに可愛いわけがないっ』とか『あの日見た闘争の名前を我が輩はまだ知らない。』とかどうだろう・・・いやしかしこれだとなんのパロディーだかもうさっぱりわかんないや。

 ていうかよく考えたら若い読者は『わが闘争』とか知らないんだから、出してもそのネタで笑いはとれないな・・・という大人の判断に一票。

作者が大きいおっぱいが好きというより、キャラクターを表すシンボルというか :週刊少年サンデー12/48号2012/10/18

 今週の原稿は描いててなんか妙に気持ちよかったです。あ、名前だけですが「フトルヒ・フトラー総統」と「闘争とわたくし」使いましたよ(笑)。これで総統はデブ決定です。


 不二子ちゃんはファシストがたいへん嫌いです。そもそも権威主義が嫌いなのです。でも内心では強い何かに守られてすがりたいという弱さもあって、自分で自分のそこがあまり好きではありません。
 それが彼女のワガママや癇癪に結びついているわけで、あの子のそういうところがたいへん可愛いなあと思って描いてます。考えてみれば美神もこんな奴だったような気がしますが(笑)、不二子の場合は失ったものへの思いから、自分の次の世代を幸福にしてやりたくなったのでしょう。おそらく美神と不二子は同じひな形から出てきた姉妹キャラで、この二人の女王様系ヒロインの立ち位置の微妙な差が、私の成長というか変化の表れなのかもしれないなあ・・・あの手のヒロインに惹かれるというよりは、自分を投影しているのでしょうね。横島だけが私の自己投影みたいに言われますけど、そうじゃないのよ?

 美神で思い出したけど、執筆当時「美神は何のために金を欲しがるのか」とよく訊かれました。たとえば親の復讐のためにとか、病気の子供の施設のためにとか(笑)そういう動機づけですね。編集者もそれがあった方が彼女のキャラがはっきりすると思ってたみたいです。
 でも彼女は金をゲームの得点のように考えていて、執着しているのはそこにです。金そのものに、ではないと私は解釈してます。だからがめついのにどっかカラっとしたところがあると思うんですよね。
 そもそもあの子は貧しい暮らしをしたことがなくて、金に対しての餓えはなさそうだし。何かに使うから金が欲しいんじゃなくて、金を稼ぐことが面白いから稼いでいるという。実際成功してる実業家とかもそういうものみたいですよ。稼いだ金を惜しんでため込んでちゃ事業になりませんもんね。

 私の場合、遊んで暮らせる大金が手に入ったらたぶんもう働かないと思います。ので、アニメが私の実力とは関係なく大ヒットしてくれることを心から願ってやみません

 ・・・というわけでちょっと強引に持ってきましたが、来週あたりからそろそろ絶チル新アニメの話できると思います。楽しみにしててくださいね。

新アニメ情報解禁! :週刊少年サンデー12/49号2012/10/25

関係者のン年間の努力が実り、TVアニメ第二弾です。みなさんありがとうございます!
『THE UNLIMITED 兵部京介』
よろしくお願いします!
公式サイトはこちら


 アニメプロジェクトというのは様々なことが全部うまくいかないと実現しないものなので、ゴーサインが出るというのはかなり奇跡的なことだと思います。ここまで一番頑張ってくださったのはプロデューサーですが、私も頑張りましたよ。ツイッターで毎日必死でネタツイートとかして(←執筆でがんばれ)

 原作者的には「前回から時間あいたし、何か枠や状況に応じた仕掛けが必要だろうな・・・・ていうかもうあきらめた方が・・」くらいのことをぼんやり思ってましたが、そこになんか凄い企画キタコレ

 で、そのナナメ上っぷりを詳しく解説しようと、この日を待ち構えていたのですが・・・・・私の中の兵部がですね、「ククク、何も言わない方が親切ってもんじゃないかなあ?」ってささやくのですよ。遊佐さんっぽい声で。なので、あまりたいしたことは言えません。

 てか、たかぎじゅん氏のあのイラストだけでもうインパクト凄いと思うんですよね。ナナメ上の企画であることが一目瞭然つーか、兵部wwwww何コレかっけええwwwwという。とりあえず放送されたら見ちゃうでしょ? 何する気だこいつらって(笑)。

 どのキャラが登場して、そのキャストがどうなるのかもまだ内緒。つーても現時点で発表されているメンバーはほとんど今まで通りですね。ただ、千葉さんがどうしても出演不可能ということで、加納紅葉役は大原さやかさんに演じていただくことになりました。メアリーと合わせて好演していただいた千葉さんと再会できないことは本当に残念ですが、大原さんの紅葉というのも絶対素敵に違いないので、たいへん楽しみにもしております。そして「ヒノミヤ」「ユウギリ」が何者なのかについても当然禁則事項です ♡


 チルドレンと皆本を軸にした路線を期待するみなさんにおかれましてはさらなる未来を超えるために、そして兵部ファンのみなさまはまさかの僥倖として(笑)、絶チルファン全員が今回のアニメシリーズを全力で楽しんでいただけると嬉しいです。