TVアニメ『THE UNLIMITED 兵部京介』 第一話:「超常脱獄 -Schooler of deadlock-」2013/01/12

『THE UNLIMITED 兵部京介』
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いよいよ始まりました!
第一話、いかがでしたでしょうか。

 ジェネオン・松田プロデューサーの尽力により、兵部京介スピンオフをマングローブさんに作っていただくというこのプロジェクトがスタートしました。漫画はまだ完結してませんので、アニメではどのみちどこかを切り取ることになります。それなら一つのパッケージとしてインパクトの強いものが欲しいし、それがいい流れを作ってくれれば次の絶チルアニメがまた生まれるかもしれない・・・とかまあ、いろいろ理屈はありますが、なによりも「新しいものを作ろう!」という心意気が素敵じゃないですか。

 スピンオフということで、本編とは少し別物のパラレルワールドになることは前提でした。制作サイドはその辺を原作者がどう思うか心配してらしたようですが、私は全然オッケー。ていうかむしろ、
「いまどきのアニメで主人公がフツーの学ランでいいんですかね。なんかこう、テールコート風になってたり、飾りとかいっぱいついてるコスプレに変更した方が。あとカタナ! 日本刀持たせましょう! 『抜刀!!』みたいな」
「・・いやそれもう兵部でも絶チルでもないですセンセイ」


 結果的にはキャラデザイン、演出、物語などあらゆる点で「新しい、でも意外とまっとうな絶チル」という面白いスタイルが出来上がりました。五十嵐監督はじめ、スタッフのみなさんのすさまじい努力でたいへんクォリティーの高いフィルムに仕上がり、「これはこれでアリだ」という感想をたくさんいただいてほっとしております。



 舞台は一応チルドレンたちの小学生編終了直後、パンドラは主に海外で活躍していたとされている時期です。といってもいくつか不整合はあって、なんといっても一番大きな独自設定は兵部の「アンリミテッド・モード」ですね。
 兵部の体はかなり無理を重ねている状態で、本気を出すと命を縮めます。なので、専用のリミッターをつけて普段は力を抑えているのです。原作にピンバッジ型リミッターはないけど、まーあれだ、たぶん第二ボタンあたりがこっそりその仕事してるんですよ。そういうことに今決めた

 『UNLIMITED』は<部外者・ヒノミヤの見た兵部>の物語です。吸血鬼たちのコミュニティーに潜入して行動を共にする人間というイメージでしょうか。キャラデザインも含めて全体のトーンがこれまでと違うのは、ヒノミヤの主観だからでもあります。兵部は本当に怪物なのか。どんな人物で、真の目的は何なのか・・・その謎を追うミステリーなのです。

 ただ、本編知ってる人には前知識もあれば先入観もあるわけで、ヒノミヤと同じ目線というわけにはいきません。そこで彼らが出会う第一話では、この作品と原作とのつながりをあえて伏せました。オッサンばっかりの刑務所、登場する原作キャラは兵部のみ、それも本当に同じキャラかどうかよくわからない。「兵部という謎の男」に出会ってもらったわけですね。

 桃太郎が出てきて釘宮さんの声がした瞬間「前作とつながった!」感がキまくりだったので、この仕掛けは正解だったと思いまくぎゅう。そして学生服エスパーに似つかわしい<昔懐かしい割れるバリヤ>の向こうに現れるカタストロフィ号・・・壁一枚向こうにはちゃんと絶チル世界があった、という趣向です。猪爪さんの脚本ってホント素敵。絶チル知らない人にも知ってる人にも同じ立ち位置から「こういう作品です」と紹介する、優れた第一話だったと思う次第です。


 激戦区である深夜枠に兵部を送り込むため、作画・演出はものすごく頑張ってくださってます。そもそも絶チルは「若く不器用で型にはまらない個性」と、「それを理解して導く青年」のラブコメディーとして始まりました。私にとって大事なのはその主題だったので、そこが引き立つように設定はあまり凝らず、懐かしい超能力作品群へのオマージュとしたのです。が、小憎らしいヒロインたちとのコメディーという要素を外したら、アクション描写や古典的な超能力をどんだけちゃんと見せられるかが勝負になっちゃいます。で、スタッフはどうしたかというと・・・・ちゃんと描いてくれましたマジすげえ
 五十嵐監督やたかぎさんたちが、会うたびに危険な勢いで魂と肉体を消耗しているのがちょっと心配ですが、あえてそこには気づかないことにして全力で応援しましょう! あえて!



 音響が贅沢なことで定評がある『絶対可憐チルドレン』、今回もそれは引き継いでおります。中川さんの音楽はよりヒロイックで重厚な路線に、効果音も深みがある仕上がりですよね! さらにヴォーカル曲がこの先大量投入される予定。

 ダークヒーロー・兵部京介を演じる遊佐さんは、本作でもあらためて素晴らしい役者さんだなと思う次第です。複雑で矛盾に満ちたキャラクターである兵部を、ご自身の一部として愛して理解してくれてます。
 ちなみに今作では兵部は「変身」するわけですが、ザ・チルドレンのトリプル・ブーストと対になっている演出なため、毎週「ん・・・ふ・・っ」という遊佐ボイス吐息が聴けるという。正確には吐息でなく吸う息メインですが。ええ、吸ってます大事なことなので二回言いました。

 新キャラのヒノミヤに関しては制作サイドも手探りで動かしている部分があったのですが、アフレコで諏訪部さんの声が入った途端にはっきり魂も見えたというか。一話収録直後から私も監督も絶賛です。最高の可憐ガイズ新メンバーを得たなあと・・・・いやまあこないだ試写会で遊佐さんが言ってたように、「可憐ガイズ」って本人の意思とはまったく無関係な呼び名なのですが(笑)。

 もう一人の新キャラ・ユウギリを愛らしく演じてくださるのは、人気・実力急上昇中の東山奈央さん。ユウギリは台詞が少ないミステリアスな子なんですが、『UNLIMITED』と『絶対可憐チルドレン』をつなぐ重要なキーパーソンです。東山さんが演じることでユウギリのイノセントが強調されてるんで、この先の展開が楽しみです。

 あと刑務所長役の廣田さん、めっちゃめちゃ長い説明台詞お疲れ様でした(笑)。刑務官役の青山さん共々、憎々しげでありつつ愛嬌のある芝居でもって、シリーズの入り口を支えるパートを魅力的に演じてくださってありがとうございます! 役を生き生きと描写することで他の役をも輝かせる、それが演劇の面白さですね。



 というわけで、これからしばらくの間、念願の絶チルアニメ新作『THE UNLIMITED 兵部京介』によろしくおつきあいくださいね! ネタバレを含むこのブログ解説は毎週土曜日深夜以降にアップさせていただきます。

 次回第二話では、”兵部のみっつのしもべ”こと真木・紅葉・葉が大活躍。そして原作でもまだ語られていない、兵部が学ランを着ている理由が明らかに・・・お楽しみに!!

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