TVアニメ『THE UNLIMITED 兵部京介』 第四話: 絶対領域 -Children Territory-2013/02/02

『THE UNLIMITED 兵部京介』
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<『OVER THE FUTURE』を歌いながら待ち伏せする少女>
<日本の管轄区域に入ったその瞬間、恐ろしい能力で攻撃してくる3人の敵エスパーチーム>
というイメージは早い段階から猪爪さんの中にあり、満を持してのザ・チルドレン解禁です。そしてOPが日本語に! 青い! シルエットの少女の姿も解禁!! あれは薫だったのかああ!!(知ってた)

 ザ・チルドレン・アンリミテッド・バージョンいかがでしたでしょうか。彼らはこのシリーズでは<最強の宿敵>です。なので残念ながら(?)、アンリミテッド・モードで本気出した兵部にはトリプル・ブーストしても勝てません(笑)。兵部さん最強。<最強のエスパー犯罪者の謎を見極めるヒノミヤの物語>という構成だしね。そしてそんな無敵の兵部の心の中の弱く柔らかい部分に、ヒノミヤは惹かれ、受け入れられ、踏み込んで行くという。

 ヒノミヤのまだ知らない兵部を知っていて、敵でありながら深い絆を持っているらしいバベルチームは、兵部の救いとなる可能性を秘めています。よそ者のヒノミヤが彼らとどう関わり、兵部をどう理解していくのか・・・・というのもこのドラマの重要なポイントで、兵部はなぜチルドレンに、とりわけ薫にあれほど執着するのか、そのあたりの本編に関わる謎を解くこともまたヒノミヤに課せられた使命なのです。
 ちなみに真木・紅葉・葉の三人は、チルドレンにかすり傷ひとつでもつけちゃったら、兵部の態度が2週間くらい冷たくなることを知ってます(笑)。なのであいつら相手では本来の実力の半分も出せなくてかわいそう。あんな連中に手加減しろとか無茶ですよ少佐(;´Д`)。



 というわけで無印絶チルとつながってきましたね! ドラクエⅢやってたらⅠのマップが登場したときのような感動です。
 私としては登場時にヒノミヤ目線の<見知らぬ人物>だったキャラクターたちが、だんだんその声や言動でもって、原作や前作とイメージが統合されてくプロセスがたまんない。それが今回のシリーズでスタッフが作ろうとした味わいのひとつです。無印ファンには、見知ったキャラや世界を違う切り口・視点から発見していく快感があるはずなので、それを楽しんでくれたみなさんは訓練された絶チルファンですね、ありがとうございます!

 仕事が終わるとみなさんのよく知ってるノリのチルドレンに戻るあのエピローグ、あそこは私が書いたのを猪爪さんが採用してくれたものです。「皆本と賢木の前では安心してクソガキでいられる」っていう、ギャグであると同時にちょっと甘いシーンで、なかなかイイ感じにふたつの作品の間を埋められたのではないかなと。面倒見のいい賢木はクソガキの悪ふざけにつきあってやって、皆本と不二子が話し合う間の子守をしているのです。どさくさまぎれの「京介ヒキョーなんだよ! あんなピンバッジ知らねーよ!!」は反則かなーと思いつつも、かなり気に入ってますすいません(笑)。

「『UNLIMITED』で初めてチルドレンを知った」というみなさんは逆に、兵部さんを困らせる生意気で憎たらしい小娘たちが背負っているものにも興味を持っていただけると嬉しいです。『絶対可憐チルドレン』単行本好評発売中♪



 作画はかなり超絶。兵部と薫のドッグファイトなんか、ものすごいですよね。ラフ撮りの段階から「うおおおお、すっげえええ!」つってましたけど、音響が入るとまたすごくて、仕上がってみたらさらにすごかった。

 被さってくるヘリのローター音や超能力の風切り音、中川さんのチルドレン襲撃のテーマ曲、夜の東京湾での壮絶なバトル、物理法則とそれを超越するパワーの両方を感じさせる超能力の描写、ギリギリの攻防の中で交錯するキャラクターたちそれぞれの思惑。ハードな空気で始まり、最後は漫画的につきぬけて船が空を飛んじゃうという、アニメならではの流れも素晴らしかったです。自分の作品が映像化され、あんなフィルムにしていただけるというのは漫画家冥利です。桃太郎の耳の動きの小芝居とかね、細かいとこまでアニメファンとして堪能させていただきました。



 声優さんの魅力や印象を語り出すとキリがないので、いつも最小限、そのエピソードの核心に関わる部分にだけ絞り込むようにしております。まーいちいち名前を挙げずとも、私が出演者全員それぞれの持ち味にウットリしていることはもうみなさんご存じでしょうけど(笑)・・・今回も素晴らしいですね。

 たとえば皆本の「本領発揮で自信満々」→「出し抜かれる」→「チルドレンの愛らしさに救われる」の流れとか。皆本はチルドレンには甘いけれど、敵に回すとあれでなかなか手強くて食えない奴なわけで、中村さんの演じるその辺の多面性の彩りがグッときます。
 中村さんには予告も担当していただいてますが、シナリオ会議では「<ナレーター中村悠一>と<皆本>の中間くらいがいいな」って話をしてたのですよ。中村さんは台本読んでサクッとそれを察してくださって、一発でその味を出してくれたんで、関係者一同「さすがわかってくれてる!!」ってどよめいてました。

 兵部は薫や皆本や仲間の手前カッコつけて余裕ぶってますけど、実は今回、チルドレンとの再会に浮かれて油断してたせいでかなり追い込まれて、内心では冷や汗をかいてました(笑)。で、遊佐さんはヒノミヤにかける「よくやった」のひと言の中に、借りを作った弱みや安堵なんかのいろんな感情を凝縮してくれてて、キュンってしますねキュンって(*´ω`*)。

 兵部が自分の弱さを明かして感謝を示してくれたことに対して、本来の任務を忘れて喜んでしまうヒノミヤってのがまたイイですよねえ。老獪さと愛らしさを併せ持つゆかなさんの不二子、頼りになる誠実さと三枚目を演じてもサマになる包容力がある谷山さんの賢木、生意気で甘えん坊の末っ子不良少年をバッチリ演じてくれてる羽多野さんとか・・・ほらキリがない(笑)。

 ザ・チルドレンの収録は一人ずつバラバラになるかもと覚悟してたのですが、ちゃんと三人一緒にマイクの前に並んでもらえて、以前のままの息ぴったりの演技を披露してくださいました。平野さん白石さん戸松さんの三人が並んでる姿ってもうホント美しくて可愛くてやべえ。あんまりアフレコには立ち会えていない私もこのシーンの収録にはスタジオに駆けつけ、美女三人がきゃっきゃしながら「お・よ・げ!」と合唱してるのをガラス越しに見つつ、「うわこいつらホント腹立つwww」と、ウットリ目を細めてました



 新EDは皆本・賢木の中の人が歌う「BRIGHTEST LIGHT」。いやもう曲もいいし、歌っているお二人とも素晴らしい。
 そこにあの映像・・・・・・・ごめん初見では噴いたwwwそして放送までに30回は見たわwww。

 最初は「さじ加減おかしくねえかこれwwww!?」と思ったのですが、5回を超えたあたりから爆笑が「デュフフフ」という笑い声に変わってたので、何かが解き放たれたように思います、ありがとうございます。

 EDは数パターンあって、エピソードの内容に合わせてちょくちょく変えるそうですよ。「OUTLAWS」はまた何度か流れますが、「BRIGHTEST LIGHT」はシリーズ中、おそらく一回だけの限定レア物になりそうで、これと対になっている兵部・ヒノミヤの「DARKNESS NIGHT」のEDも準備中。2曲が収録されたCDは来週発売ですね。合わせて聴くと破壊力がまたすごいので、ぜひお買い求めくださいませ♪


 次回はまさかのマッスル登場。ちゃんと三宅さんお呼びしましたw。
 エンディングとモブにはずっといたけど、マッスルを話に絡ませて大丈夫か『UNLMITED』! そしてユウギリの能力がついに・・! あと柏木さんもちょっと出るよ!! 見てね♪

生存戦略とわたくし :週刊少年サンデー13/11号2013/02/08

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 悠理ちゃんは一時退場。不二子ちゃんにもちょっと休んでもらいます。迫っている<黒い幽霊>との対決への布石なのですが、なかなかデリケートな局面なので、一手ずつ考え込んで苦労しながら進めてます。



 さて、アニメが好評放送中で、私としては「粘ってればやっぱりいいことはあるなあ」と思います。

 私は恵まれてると思うし、自分の幸運には感謝してます。しかしそうでない場合も、幸運が来ないことを呪っちゃいけません。ほどほどのところで幸運がひょいっと来てくれることを甘っちょろく期待してたからそうなっちゃうんで、「あとは本当に運を天に任せることしか思いつかない。自分にやれることは全部やったし、覚悟の上なので爆死しても誰も恨まない」と思えるとこまで、自分を納得させてないからではないでしょいうか。

 絶チルは「美少女三人を主人公にして、手堅く当てに行ったのだろう」などと言われることがありますが(笑)、まったくちがいます。編集部からはあらゆる点で猛反対され、私も売れるとは全く思っていなかったけど、ただあのときは「今自分はこれを描かなければならない」という捨て身の体勢でした。
 世の中の価値観がバラバラになって何をして良いのかよくわからない中、「身近な子供を伸ばすこと、守ることだけは絶対に普遍の正義」という主張を自分の中に発見して、さらにそこに自分自身の不器用さへの肯定を込めるというのは、当時の私には商売抜きで全てを賭けてしがみつく価値のある仕事だったのです。

 でまあ、長くやることなど考えずにやりたいことを全力でぶっ込んだのが結果的には良かったのか、すったもんだはあったものの、今日の運びとなっております。いろんな事情から最初週刊連載は断ろうとしたのですが、高橋留美子先生に「チャンスがあるなら無理してでも週刊連載しなさい。大勢の読者にたくさんのエピソードを見てもらえる方が作品は幸せです」と背中を押していただきました。その後小学館の営業さんや書店の方たちが早くから評価してくださって、危なっかしいよちよち歩きだった絶チルをここまで育ててくれて、私が爆死してもいいと思うとこまで入れ込んだものに深く共感してくれた松田プロデューサーがいてくれたことも、すごい幸運だったと思います。みなさま本当にありがとうございます。

 そして今回のアニメ終わったあとも生存のための死闘は続くので、高橋先生には今もことあるごとに「将来的に僕は食えなくなるかもなので、<高橋留美子美術館>を建てたときには館長に雇ってください。ちゃんと真面目にいい仕事しますから!」とお願いしてます。最終的には寄らば大樹・・・それが私の生存戦略

 オチがちょっとアレなのであまり前向きな話になりませんでした、すいません



 ところで今夜はニコ生で前作アニメ「絶対可憐チルドレン」第1話~第5話を配信。不肖私も一緒に参加して、仕事しながらツイッター実況しようと思います。ぜひみなさんも参加してくださいね!

 可憐GUY'Sの新曲「DARKNESS NIGHT|BRIGHTEST LIGHT」も好評発売中! 


TVアニメ『THE UNLIMITED 兵部京介』 第五話 :ストレンジャーズ -Portrait of the family-2013/02/09

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 すっかりパンドラに打ち解けつつあるヒノミヤ。無法者たちのひとときの休日・・・・・・・お察しの通り、これから何かが起こるフラグです。


 まさかのマッスルから始まったこのエピソードですが、当然のことながら彼は本作では脱ぎません(笑)。のちに駐日ロビエト大使として辣腕をふるう、有能なサポートメンバーとして登場。三宅さんは「あ、じゃああの股間からビーム出してたのとはちょっと違う感じですね? ちょっとシリアス・・・・シリカマ・・・・」とおっしゃりつつ声をアテてくださってました、ありがとうございます。シリカマて(笑)。
 ちなみに三宅さんは『マイティ・ソー』じゃないですか。んで中村さんは『キャプテン・アメリカ』。モブを演じるときお二人で仲良く楽しそうに芝居してくれてて、「おおっ、ソーとキャプテンが花屋敷でキャッキャウフフしているwww」と個人的にこっそり喜んでましたがアンリミとは関係ないですね、すいません。


 東山さん演じるユウギリの可愛さが今回の背骨。マジかわいい。リアル幼女のような芝居ですがリアル幼女よりはるかに可愛いという。まさに幼女・オブ・ドリーム。毎回「ん・・!」とか、台詞になってない発声の芝居が多い彼女ですが、それだけでもすごい存在感ですよね。
 私はキャラクター、特にヒロインや子供は<他人になびかないエゴ>があった方がキャラの生命を感じます。だもんで世話を焼く紅葉に「ひとりできめられる!!」と逆らうところなんかは大変ツボです。シナリオ段階で「あ、いいな」と思ってましたが、実際に芝居が入るとさらにキュンとしました。

 「エスパー×ノーマルの対立」というのは、本作では時には大人と子供の対立であり、時には持つ者と持たざる者の対立であり、個性と秩序の対立であり。私はどっちかが理不尽な悪であるとわかりきった対立は、単純すぎてつまらない。わかりやすくてやっつけると気持ちいいけれど、現実のそれはもっとモヤモヤしたものだからです。主義主張のどちらが正しいかではなく、対立によって生まれる断絶こそが、絶チル世界の中では最大の敵。今回のエピソードは私が書いたものではありませんが、描かれているのはやはりそういった類のものですね。

 遊園地の群衆は誰もユウギリに石を投げたりはしません。むしろ彼女の超能力の危険さを考えれば、冷たい態度になってしまうのは当然と言えます。しかし兵部は、誰の中にもある、それで納得してしまう心が嫌いです。

 世の中には「正・誤」「勝ち・負け」以外にも「美しい・醜い」「優しい・残酷」という価値観があります。「自分は正しい。相手は間違っている。だから相手の心に無頓着になっていい」と思うとき、ときに人間は醜く、残酷です。そういう行いをしているにもかかわらず、「正しい」がゆえに自分のことを善良だと思っている人は多い。また、「積極的に石を投げなければ荷担したことにならない」という考えも「寛容」とはほど遠いのではないでしょうか。そういった「マジョリティによる<正しい>残酷さ」への復讐のため手を汚すことも、兵部の生きる目的の一部です。迎えに来たのが三幹部でなく兵部だったら、たぶん大人げなくアンリミテッド(ひどすぎる)。

 まあでも、そーゆームツカシイことはともかく、とりあえずは「いい悪いはともかくユウギリちゃんぺろぺろ(*´Д`)」と思っていただければいいんじゃないでしょうかね。絶チルは<規格から外れた人間><社会の異物>を美少女として描くことから出発しました。萌えは断絶を超え、他者にコミットする突破口のひとつなのです。



 紅葉の回想は、『UNLIMITED』では初めての、原作をそのまま使用したシーンですね。ああいうことが実際に起きていることを考えると胸が痛みますが、パンドラのエピソードとして素晴らしい出来映えです。松田プロデューサーが「ここは原作そのままで! 真木は超カッコ良く!!」とこだわってくれました。

 真木・紅葉・葉の三人は日本人ではありません。名前はひきとってから兵部がつけたもので、でも本名は何なのかとかどこの国の出身で人種・民族は何系なのかなどについては漫画的にボカしてますんで、追求しない方針でよろしくです。都合の良いときだけ人種や国籍がキャラ付けになり、青い髪とか赤い眼の人間もいる・・・それがアニメ・漫画時空。
 兵部は真木のことを「司郎」と呼んでて、ここはシナリオ会議でも私がそうお願いした部分です。のちに兵部が彼を一人前と認める事件があり、そのときから名字で呼ばれることになります。鼻っ柱の強い真木が苦労人のナンバー2になるきっかけでもあるのですが、まあそれはいずれ描く・・・・かもしれない。葉のつけている羽の首飾りについても、いずれ機会があれば。悪夢を防ぐネイティブ・アメリカンのお守り「ドリームキャッチャー」の欠片なんですけどね。



 パティは今回も無口に活躍。少佐の痛ケーキはおそらく彼女の作ですね。あと同人誌頼んだのもたぶん彼女。思うに、ソッチ方面に目覚めてそういうものが存在することを知ったばかりで、やや人目をはばかりつつ楽しむ趣味であるという認識がイマイチなのではないでしょうか(あるある)。
 私は小林沙苗さんのパティ大好きなのですが、いまんとこ喋らないで小芝居してる方が面白いので、台詞はありません。パティは初登場は殺し屋だったのに、なぜか次のOVAとCDドラマでは腐っていたというキャラ。なのでその節は小林さんを混乱させたのではないでしょうか、すいません(笑)。アンリミでは毎回「今回こそは中の人をお呼びしてパティを喋らせるかどうか」を話し合ってまして、ここでも「いや・・・まだでしょう」という結論です(笑)。まーキャラは必要な時が来たらこっちが黙らせようと思っても自分から喋りますので、タイミングはパティ本人に任せましょう。


 完成してから気がついたのですが、少佐の靴下は白(笑)! でも事前にスタッフから問い合わせがあったら何と答えたかと言われるとよくわかりません。喪服だから黒? それじゃオッサンくさい? かといってカラフルなのもどうなんだろう・・・・やっぱ学生服には白かなあ。とりあえず裸足はないな。ご意見あれば受け付けます(丸投げ)。

 お忘れかと思いますが、前作・小学生編のラストの兵部は、残り少ない寿命をあることに使って命を捨てようとしてました。それは思いとどまったものの、このシリーズでは大暴れしちゃってて、アンリミテッド・モードでガンガン寿命削ってます。結果として彼の余命はこのままだとせいぜいあと数ヶ月。この世界が本編に収束するのか、完全に分岐した世界へ行くのか、我々が『UNLIMITED』の彼をどこに着地させるつもりなのか、その辺については曇り無き眼で見届けてくださいませ。


 ここまでのエピソードは「序」、次回からは「破」。終盤の「急」に向けての怒濤の展開になります。お見逃しなく!!

「ニュー・シネマ・パラダイス」的な :週刊少年サンデー13/122013/02/14


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 世の中にはもう充分にネガティブな情報があります。ので、私が今さら新しく追加する必要はないと思うのです。そしていいこと言ってもそれが理解できない人があとからあとから出てくるので、そっちに手を取られるのがめんどくさい。
 なので、極力どうでもいい楽しい話を発信するように努めてます。今日もどうでもいい楽しい話をしましょう。

 私が他の漫画やアニメの話をすると「その作品のこと知ってるんだ!?」ってリアクションがときどき見受けられます。いや、私は漫画家だから。職業にしちゃうほど漫画やアニメが好きだったわけですから。たしかに学生時代ほど面白くて刺激的な作品をギラギラした目で探し回って読みふける、みたいなことはしなくなりましたけど、それでも「なんとなく漫画とかアニメとか好きかもー」って人よか読んでますよそりゃ。

 あと作品の中でパロディーとかやると「無理して今の客に媚びちゃって」とか言われるのもどうなのか。私はデビュー当時からパロディー好きでやってきてますが、キャリアが長くなったら趣味が変わらないといけないんでしょうか。そして日々いろんな作品見てて面白いと思うモノの中から読者に伝わりそうなネタをやるわけですが、それは自主的にやっとるのです。無理ってなに。

 まー彼らからすれば、自分たちの遊び場にオッサンが侵入してきたように見えるのかもしれませんけどね、でもそれ、逆だから。君らの方が、あとから私の縄張りに入って来たわけですから。漫画・アニメの世界で大人とか子供とか関係ないから。全員大きなおともだちだから。

 そんで「いまだに現役ってすごい」とかいうのもどうなのか。現役でなくなるってことは、漫画の仕事してないってことですから。そもそも「まともな社会人になるのは無理だな」と思ったんで漫画家になってがんばってきたわけで、今さら就職とかもっと無理だから。

 さらに「結婚して子供もいるからリア充」ってのはなんなのか。いやまあホントに心底なんというか望まない人生を送っている人にはまあ元気出してねと思うのですが、いくつになってもモテたいけどそんなわきゃねえってのは変わらないわけですよ。さらに思春期を非モテで過ごした怨念は一生ものですから。今更何があったとしても、初恋のときめきとかこの胸の鼓動どうすればいいのとか飽きることなくいつまでも将来の夢を語り合う若い二人とかないわけですから。あったとしてもそれたぶんただの条例違反ですから。

 だからまー要するに、私は一生非モテでオタクです。それは年齢や現在の状況に左右されません。

 ・・・・・・・どうでもいい話というところまではうまくいきましたが、楽しくない上にネガティブな情報を発信してしまいました、すいません。というわけでこれから久しぶりに美神描きます。

TVアニメ『THE UNLIMITED 兵部京介』 第六話: 闇、走る -As true as a lie-2013/02/17


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 いよいよ物語は核心に。社会からはみ出した不良少年たちの王国・カタストロフィ号に迫る危機。兵部とヒノミヤの決定的な対立。



 今回、兵部は薫の無邪気な甘さについ「いつまでたっても幼い頃と同じく、皆本、皆本だ! ノーマル共はなぜこうも忌々しく、そしてやすやすとエスパーの心を乱すのだろう・・!」とか言っちゃうわけですが、私はあそこがもう切なくて切なくて、元は自分のキャラだということを忘れて萌え。

 薫は兵部とよく似た道を歩む運命を背負っている、いわば彼の分身です。自分の全てを託せる「女王」との出会いを、兵部は彼女の生まれる何十年も前から待ち続けてたのですよ。そしてその薫はようやく目の前にいるのだけれど、まだ<やがて現れる彼の「女王」の器>にすぎないのです。

 目の前の薫の中の「女王」に手が届かないもどかしさ、かつての自分に対する甘美な痛ましさ、信じてやるにはあまりにも非力で未熟な上に「あの男」を思い出させる皆本への不信、それでも捨てきれない希望。そういうこれまで我慢してた万感がこみあげてきて、今の薫には通じるわけがないのに、気取っていたポーカーフェイスが崩れるのも構わず本音を言わないではいられない
 ていうかなんで私、あんな可哀想なキャラ作っちゃたんだろう(笑)。

 体に限界が来ている痛みと、心の痛みが同時に来ちゃうという脚本・演出がまたクるものがありますね。さらに遊佐さんの芝居が絶妙。必死で自制しつつ、でも抑えきれずにあふれちゃう感情っていう。
 その後のバトルでのサディスティックな態度にも、歪んだ形で思いの一部をぶつける快感があったりなんかして、演出にも音響にも脚本にも作画にも「やられた・・!」感が。私が動かすとあそこまでボロは出さなかったと思うのですよ。私の中の兵部がブレーキをかけますんで。

 あとで遊佐さんとお話ししたとき「あの兵部は、台本読んで私の中に見えてた兵部より、もっと兵部でした!」と一生懸命お伝えしたのですが・・・・まあこのセンセイは遊佐さんの兵部が好きでたまんねえらしいという気持ちだけは伝わったんじゃないでしょうか(笑)。



 ところで、五十嵐監督は繊細な感性とバランス感覚の持ち主で、アンリミにアニメ的につきぬける快感と、映画的な美意識やエロティシズムが絶妙にブレンドされて入ってるのは監督の手腕ですね。
 男性の描写に「エロティシズム」とか言うと「BLかああっ!!Σ(; ゚Д゚)ガタッ」って言う人多いですけど(笑)、実際にはそれは大人の鑑賞に耐えるドラマの中には当たり前にあるもので、そっち方面に大げさに解釈するのが最近のファンの流行りというだけです。

 監督ご本人も「そういうのちょっとわかんないんで・・・」っておっしゃってますし、私も猪爪さんも「いや同感ですよ」と。
 むしろ我々みんなガンダム好きなんで、打ち合わせでは「ガンダムにたとえると」とか「ガンダムならこうなる」みたいな男らしい話が多いです(男らしいのかそれは)。

 だからたとえば2話でヒノミヤがリミッターを受け取るシーンの演出では「あそこは最初芝居が淡泊だったんで、リテイクしたんですよ。『もっとねちっこく、吐息がかかるカンジで!』って」「ですよねええええ!」みたいなことはやってますが、そこは別に、特に女性向けだとかそういうことでは全然ありません。敵同士であることを偽り、互いに化かし合っている二人の間に、虚実が混じりながらも絆が発生するというシーンですから、映像言語として当然そうあるべきだということです。

 というわけで(?)EDは男祭りパート2、兵部・ヒノミヤ編。こっちは若干女性ファンを意識してると思うんですけど、まあ曲も歌詞も映像もカッコイイからいいでしょう、デュフフフフwwww。CD買ってね!



 さて、今回はひじょうに気になるヒキで終わっているわけですが、あのラストに関しては当然キャラの内面の解説とか一切しないしできません。そしてあの続きにはものすごい展開が待っております。いや、大げさでなく、かなりキてます。で、その状態でいったん物語は過去に戻るじらしプレイ

 漫画を描いた身としては、「一回やったことをもう一度やるよりは何か新しいことをやりたい」という気持ちと、「自分の描いたものがそのまま巧みに映像化されるところを見たい」という気持ちの両方があります。超能部隊編は思い入れのあるエピソードで、それをひじょうにいいフィルムにしていただきましたんで、原作ファンも未読の方もぜひぜひ楽しみにしててください。前後編で2話分です。今回の続きはそのあとってことで・・・・ものすごいことになるんですけどね!