疾風(かぜ)を駆け抜けて:少年サンデーS 2022年/12月号 ― 2022/10/26
単行本最新第三巻、好評発売中です! この巻からは七宝ちゃんと御母堂様が参戦。弥勒・珊瑚夫妻の後日談や、お約束のお風呂シーンもあるよ! 理玖・りおん・竹千代も仲間に加わり、殺生丸さまの爆砕牙が炸裂し、犬夜叉・かごめの現状も明かされます・・・・令和リブート版アニメ『うる星やつら』も始まったことですし、「書店様の『高橋留美子フェア』に堂々と紛れ込む椎名高志」という漫画史に残る貴重な小ネタに参加する意味でも、ぜひお買い上げくださいませ。
さて、今月号の『夜叉姫』は・・・・
アニメの愛矢姫は翡翠と縁のあるキャラですが、コミカライズ時空でもこのあと出会うかどうかはいまんとこ不明。彼女の「おてんば」を、「元気すぎ」とか「ワガママ」から一歩踏み込んで、「武家社会に息苦しさを感じている子」と解釈しました。アニメでもそんなことを言ってましたし、そこに焦点を当てると自分の居場所を探すとわと重なるなと思って。その上で「世の女子たちを元気にしたい」と言わせ、物語が重くなりすぎないようギャグにしつつも救いをあげたかったというか、彼女が自分を救えるようにしてあげたかったというか。
「天下を~変えとうござるよ~♬」って歌詞、自分ではめっちゃ笑ったんですけど読者に伝わるかどうかは不明。メンバーにはのちの『軍師官兵衛』がいるんですが、秀吉回なのにそこはうまく拾えませんでした・・・あ、いや、「武威六人隊」は架空のオリジナルキャラであり、実在の人物・グループとは無関係です。
是露さまは蝶の意匠を身にまとってて、武器は蜘蛛がモチーフというキャラですが、あれ、彼女の二面性を象徴してるんだと思うんですよね。そこで私は彼女は特定の生き物ではなく「虫の神秘的な生命力」の化身であるとし、「分身にスズメバチを使う」という設定を追加。獰猛さと優しさ、美しさと醜さ、矛盾するさまざまな要素の根っこにあるのは「幸せになりたい」と願う小さな生命のいじらしさや儚さ、強さや激しさである・・・という解釈です。今回のために海洋堂さんの可動フィギュア『リボジオ オオスズメバチ』買いまして、これがものすごい出来で作画資料としても素晴らしく、たいへんありがたかったです。
今回の話にりおんちゃんは出番がないと思ってたんですが、夜叉姫たちを見守る存在に彼女だけが気づくというのは自分でも予想外でした。原作アニメで「犬夜叉・かごめは黒真珠の中からもろはを見守っていた」とあったのを回収するネタです。
過去編で犬夜叉が家族についての思いを語るシーン、あれ実は「もろは」という名前の由来につながってます。早く本人に伝えられるといいですね。
殺生丸夫妻の新婚エピソードは結局持ち越し。予定では犬夜叉が「殺生丸の奴も今こんな気持ちなんだろうか」って振るはずだったんですけど、それだと話のついでって感じになって構成のバランスが悪い気がしたため、もう分けちゃうことにしたのです。次回じっくり描けると思いますんで、ご期待ください・・・いや、まあ、あくまでも「高橋留美子じゃない他の作家、私が考えた、妖怪と人間のラブストーリーの断片」ですので、過度な期待をされても困りますが(どっちだ)。