無茶しやがって・・ :サンデーS 2023/5月号2023/03/25


 2月は日数が少ないため、月刊連載だと影響が直撃します。確定申告もありますしね・・・。加えて今回はネームにものすごく時間がかかりました。大量の説明を一気にぶちこみつつ、漫画の一話として成立させるのに苦労した感じです。最終的には「ギリギリ漫画になったかなー」という感触で、高橋留美子先生の感想は「ちゃんと面白かったよ。よく捌きましたねえw」でした(笑)。わかってくれてる・・・もう一生ついていこうと思いましたね(笑)。


 もともと『半妖の夜叉姫』は、各キャラクターのバックストーリー・事件の背景が盛りだくさんな作品です。コミカライズではそれをまとめたり簡略化したりしてきましたが、漫画として構成するにはまだ情報量が多め。最終的には「悪いことはだいたい妖霊星が黒幕」「殺生丸は時間の乱流に巻き込まれている」「御母堂様も手伝ってくれてる」等でなんとか漫画で語りきれる情報量に抑え、そのアレンジに合わせる生活描写やキャラの関係性を盛り込んで形を整え、どうにか仕事は果たせたかなーと。
 殺生丸さまのタイムループはかなり大きいアレンジに見えるかもしれませんが、「バッドエンドを回避するためだった」とすれば、彼のミステリアスな行動にまとめてざっくり説明がつきます。戦国御伽草子の基本構造は異世界転移ものなんで、このギミックとの相性は良さげだし。あと私の描く殺生丸さまはやっぱ私のキャラになっちゃうわけで、読者にはそこんとこを「長いこと苦労してればまあ多少は変わるのもしょうがない」って納得していただきたい。1話を描きあげた直後あたりに高橋先生に打診して、特に問題なく許可してもらってました。

 犬の大将が『天下覇道の剣』で息子に語ったセリフ「お前に守るものはあるか?」、あれはまあ単純に考えれば「愛する者がいてこそ、男は強くなれる」的な話なんでしょうけど、コミカライズにあたってはさらに深堀りしてみました。結果「何をどう守りたいかによって、求める強さや力は変わる。オールマイティーな絶対の強さなどというものはない」という解釈はどうかなと。コミカライズのおやかた様が「強さはひとつではない」つってたのはそういう意味で、ひとつの強さを極めたからこそのアドバイス。単純に剣の勝負・妖力の勝負なら殺生丸さまはそう簡単に引けを取らないはずなんですが、「妖霊星によってこんがらかった所縁・縁・運命を解きほぐし、グッドエンドに到達する」という戦いにおいては、力づくだけではどうにもならず、ついに父の言葉の意味を理解して、娘たちの覚醒に運命を託す決断をした・・・・って構図。


「天真爛漫な若奥様りんちゃんと、クールな御母堂さまとの嫁姑関係」「御母堂さまとの関係が気まずくてドキドキするかごめちゃん」は描くのを楽しみにしてた描写です。御母堂さまは内心では十六夜さまのことを面白く思ってないはずですが、誇り高いので態度には出しません。犬夜叉はあんまりピンときてなくても、かごめちゃんはその辺りを察して胃がキリキリしちゃうという(笑)。

 新米ママのりんちゃんが夫の悪口を言う犬夜叉に反論するシーンは、例によってキャラのアドリブです。ふだんの生活・子育ての様子が垣間見える楽しい場面になって気に入ってるんですが、「殺生丸さまにおむつ替えなんか似合わないし、私がさせません!」というのは「なるほど・・・」と思いました(笑)。まあ昔の身分が高い人たちは子育ての実務はほとんど乳母や召使いに任せちゃうんですけどね。殺生丸さまはそのつもりで豪華な屋敷と使用人の無女を用意してて、でもりんちゃんがなんとなく「楓さまやもろはちゃんと一緒なのも賑やかで楽しいかも・・」って風なのを察してそのように。そしてフタを開けてみたら現代人のかごめちゃんのスタイルと価値観に(あれ? そういうものなのか・・?)みたいな。

「犬夜叉は殺生丸をかばって撃たれた」という顛末、本当は詳しいいきさつをもっと描写したかったのですが、今回はもうページがキツキツで入りませんでした。後ほど回想という形でまた改めてやれるといいな。ループの初期には「なぜこいつは危険を冒して私をかばうようなマネをする?」ってなったはずなんですよ、たぶん。「手を打っても、不思議にそれをかいくぐっていつも殺生丸をかばおうとする犬夜叉」イベントが発生して「なんなんだこいつは」ってなり、やがてそれが半妖である弟の中にどうしようもなく存在する人間性・善性なのだと気づいた結果のお姫さま抱っこです。そこに至るまではものすごく時間が必要だったろうと思うんで、タイムループ設定のおかげで描けたシーンですね。14年間を10回繰り返せばそれで140年。20回で280年。30回で・・・・この漫画における殺生丸さまがどのくらいの年月と戦っているのかは、またのちほど。


 そんなこんなで、物語の背景・過去についてはだいぶ話がスッキリしたと思うものの、こんどは現在進行中の状況を整理しなければなりません。魔夜中・華夫妻のバックストーリー、朔の行方、是露さまや理玖の動き・・・ここが物語全体の中間地点、正念場です。京都編が終われば一息つけると思うので、もうひと頑張り。

ちょ、顔近い :少年サンデーS 2023年/4月号2023/02/25

 単行本ペースを上げるため、しばらくは48Pの大盛りでがんばってみます。今回盛り込みたい情報量が多く構成に苦労しましたが、高橋留美子先生に「すごく面白いよ!」と言ってもらえたのでたぶんいい出来です。

 はじめて阿久留の名が登場。「時空を司る神」「時代樹の上司」とすることで、ゲームマスターを一元化。同時に「天照大神(あまてらすおおみかみ)の愛犬」設定で、アニメ原作の「犬一族にだけ見える」に理由付けした形です。妖霊星についても是露さまの身に起きたこととイメージを重ねました。念のために言っておきますがこれ、日本神話に北欧神話やギリシャ神話のテイストを混ぜた私のウソですからね(笑)。

 是露さまが花魁(おいらん)風の衣装なのは戦国時代としてはすでにファンタジーなんですが、そっからさらに時代をさかのぼっちゃってるのでここは奈良時代風に。理玖が誕生した場面ではいつもの着物だったし、おやかた様たちもさほど古風ではないし、考証というよりは単に「過去のシーンであることを絵面でも示す」「キャラがお着替えするとちょっと嬉しいやん?」っていうだけの遊びとご理解くださいませ。
 理玖は原作アニメ通り、生まれてしばらくは感情が希薄だったようです。「人工的に作られたレプリカントが魂を獲得していく」というのが隅沢さんが理玖に抱いていた初期イメージで、これは多くの隅沢脚本に共通するモチーフだと思うのです。コミカライズは原則として「椎名高志のフィルターを通した高橋留美子作品」という切り口に引き寄せて再構成してますが、ここは外せない。

 おやかた様が持ってる剣の設定については、以前から『犬夜叉』ファンは気になってたと聞いてます。「コミカライズで補足できるといいな」と思ってたんですが、現状では十六夜さまのことにまで触れる余裕はなさそう。でも一応「おやかた様は自らの牙を剣に変え、愛刀『鉄砕牙』とした。のちに十六夜と出会って恋に落ちたとき、鉄砕牙に守りの力を付与して『人間を守る心がなければ使えぬ妖刀』を作った」という仮説に基づいて描いてはみました。
 妖霊星の破片と戦うシーンはアニメ原作通り鉄砕牙を使用、でも刀身は犬夜叉が封印を解いたばかりのときに似た、やや細身な姿です。また、妖霊星が本気を出してないため、おやかた様も大技は使ってません。殺生丸の前で冥道残月破とか使っちゃうと『犬夜叉』と矛盾しちゃう・・・まあ、多少間違いがあっても「コミカライズ版は別時空」ってことで、おおらかに見ていただきたい。なるべくないようにはがんばってますが。
 
 それより、私が今回一番見てもらいたいのは「顔近い麒麟丸さま」ですかね(笑)。『犬夜叉』オマージュを描いてて、(からかい気味に威嚇したあと、何か言うよな・・・説教とか教訓かしら?)って思ってたら、私が考えつく前に原稿の中の麒麟丸はふっと優しい表情になって謝ったという。細谷ボイスが聞こえる・・ダミーヘッドマイク収録音声で。あとこれ、殺生丸は自分がやられて悔しかったことを後年犬夜叉にやったことになりますね。相手の揺さぶり方は麒麟丸から学んだらしい(笑)。


 後半は魔夜中さまと、名乗ってないけどお華(はる)さんが設定を変えて登場。実は華さんの衣装はもっと明確に「逆髪の結羅」に寄せるつもりだったんですが、「人妻があんな露出はいかがなものか」という担当編集者と「結羅と関係ない子だし、これ以上寄せる意味ないんじゃない?」という高橋先生のご意見に合理的に反論できなかったため、あのような形に。ここは世界中の逆髪の結羅さんファンのために抵抗するべきだったかもしれない・・・合理的に反論はできませんが(笑)。

 コミカライズ版での朔の扱いは以下の通り。
1:用語としては「朔」は「新月」の古い呼び名で、半妖が力を失う日のことは「そのとき」とか「その日」と言う。犬夜叉は朔がそのときという体質の半妖。
2:四半妖のもろはも半妖扱い。犬一族の血をひく半妖は、みんな同時に力を失うらしい。その方が説明がシンプルだから。
3:妖力を失っても髪は伸びないらしい。

「妖力を失うことは、必ずしも致命的な弱点ではない」と言い切るところは、たぶん「アニメ版と決定的に違う、私の夜叉姫」です。背景設定の違いを反映したというだけでなく、私という作家があの子たちに託す思いがこもってるというか。あの瞬間は「養女」ではなく、「私のキャラ・私の娘たち」って感じました。

次回はいよいよ、犬夜叉たちが失踪したいきさつを明かします。
今回以上に情報量が多く、このままだと「回想の回想の回想」みたいなことになっちゃいそうなんで、ネームは絶賛苦戦中。最悪の場合作画が間に合わないかもっていうとこまで追い詰められてます。まあ、なんとかなる・・・んじゃないかな。わかんないけど。

家族の肖像 :少年サンデーS 2023年/3月号2023/01/28



今回のエピソードまでが単行本第4巻収録となります。ここらで過去の出来事を一気に説明したいんですが、その間夜叉姫たちが完全に引っ込むのもどうかと思うので、ちょっと構成に悩み中。

七星は渾沌と同じく少し若返らせ、最初から是露さまの部下に。コミカライズでは「サディスティックな変態」というキャラ立てだと夜爪とかぶっちゃうため、夜爪とはじゃっかん方向性の違う「マゾヒスティックかつナルシスティックな変態」ということにしました(笑)。その結果として是露さまのキャラとも絡められたので、そこはうまくいったんじゃないでしょうかね。興奮して無自覚に是露さまの痛いとこついてくるという。ちなみに歯にグラデトーン貼ってあるのは昔のお化粧、「お歯黒」です。キャラ表には「貴族妖怪」って描いてあるのに、漫画では変態ばっか強調して貴族的なとこが減っちゃったなと思って。お歯黒はふつう既婚女性のお化粧ですけど、都の都会的おしゃれ貴族紳士もやってたのだとか。じゃあかごめちゃんや珊瑚ちゃんもお歯黒すんのかってことになるんですが、現代の美的感覚と違いすぎるので時代劇ではたいていスルーするのがお約束。「退廃的な貴族」ってキャラを表現するとき雰囲気出すために急に出てきたりします。

姫たちが旅をする設定にしたとき、「屍屋には『座』(商売する権利と資格を独占する組合みたいなもの)があって、全国チェーンにしたらどうかな」「昔のRPGゲームみたいに全国どの店にも同じ顔のオッサンがいる」というネタを思いついて、このたびそれを採用。獣兵衞さんと竹千代はストーリーを構成する部品としては省略する選択肢もあったと思うのですが、彼らがいないと『半妖の夜叉姫』らしさが半減するような気がします。ので、今後も登場してもらう予定。

おやかたさまの説明の通り、妖霊星はざっくり「天体タイプの妖怪」と定義しました。意志・悪意を演出するために目玉をつけ、迫力が出るようあれこれ悩みながら描いてたんですけどね。入稿したあとで「なんか鬼●郎のバック●アードさまに似ちゃったかな・・・」と気づいたという。「このロ●コンどもめ!!」ってネットミームでしか知らないんだけど。

おやかたさまと若殺生丸さまは劇場版犬夜叉『天下覇道の剣』準拠、でもあれよりもちょっと前です。トビラだけうっかり若殺生丸さまの帯に柄つけちゃいましたけど、帯は無地が正解ですね。<本編よりもさらに血の気が多く、まだ未熟さが残る若者>として描きましたが、親子関係や心理描写にあんまり踏み込んじゃうと、人間くさくなりすぎて妖怪としての神秘性がなくなります。かといって遠慮しちゃってもキャラが生きません。ので、芝居にはかなり神経を使いました。ご子息もなんですが、おやかたさまが奥方への気持ちの片鱗を表明するというのも迷ったポイントで、でもそこは私がずーっと「御母堂さまのことは!? ねえ十六夜さまラブもいいけどチラッとでもいいから御母堂さまのことにも触れて!?」って思ってたのでやむなし。20年越しの個人的な何かが。


アニメではおやかたさまや若殺生丸さまと絡まなかった冥加じいちゃんを出すにあたり、高橋先生に「ちょっと若く描いていいですか」と相談し、あのような仕上がりに・・・いやまあ、獣兵衞さんとか七星とか妖霊星とか冥加じいとか、ファンからすると割と重要度低いキャラだとは思うんですけどね。冥加じいに『犬夜叉』でやった毒抜きを再現してもらったとことか、もっと褒めて褒めて。

メビウスの輪:少年サンデーS 2023年/2月号2022/12/24



『異伝・絵本草子 半妖の夜叉姫』単行本1~3巻、好評発売中です!

 担当に指摘されて気づいたんですけど、せっかく冒険の目的と旅の目的地をダブらせる設定を導入したのに、それを一度も図にしてませんでした。劇中でそれなりに描写したり言及したからわかるだろうと思ってたものの、地理に疎い人にも一目瞭然にするのが漫画のホスピタリティ。で、急遽トビラ絵をロードマップに差し替えました。
 楓の村・退治屋の里・屍屋はそれぞれ、練馬・調布・品川あたりだと私は推測してるんですけど、地図では練馬・八王子・小田原あたりになっちゃってます。これはまあ縮尺の都合と、地点の正確性よりも旅の進捗イメージを優先したためです。たぶん正確な場所は原作者含めて誰にもわからないと思うんで(笑)、「学術的には解明されていない歴史の謎を、コミカライズが創作で埋めた」的なアレだと思っていただければ。いまんとこ暫定的なゴールは理玖が提示した堺になってますが、時代樹が行けと命じていた最終目的地「西の果て、日の本の大地尽きる処」はいまんとこ九州、五島列島と考えてます。遠藤周作の『沈黙』の舞台ですね。

 じゃんけんのような三つのジェスチャーで勝負する遊びを「三すくみ拳」「虫拳」と言います。起源は大陸で、 本編で触れたように平安時代にはもう伝わっていたそうです。遊ぶ際の細かな作法やかけ声に関しては資料が残ってなくて、「リャッケンホーエ」は私の創作。元ネタは仏教語の「料簡法意」という言葉で、「じゃんけん」の語源なのだとか。意味はざっくり「御仏の真意を考える」なので、「神さまの言うとおり!」ってニュアンスですかね。

 正体を現した敵はアニメにも登場した「常世の虫」。コミカライズの是露さまを虫の化身としたことを踏まえ、頭部のデザインをちょっとリアルな虫に寄せました。アニメ原作とは違うけど類似した状況で、未完成ながら「所縁(ゆかり)の断ち切り」に覚醒するせつな・・・進行の都合でコミカライズでは武器強化イベントは省略し、キャラの成長に伴って武器も自動的に変化していくという方針です。てことは残念ながら刀々斎さまは出番がないかなあ。そしてこっちの世界の是露さまの杖は、ブラックホール的なものを発生させる兵器だと思われます。冥道発生装置的な。
 覚醒したりおんちゃんはアニメよりも気が強い感じですが、休眠状態の幼女感と合わせて混ぜると原作に近いとこに行く感じを狙ったというか。麒麟パパや是露おばさまのアカンとこを、アニメ同様容赦なく言語化してぶった切っていただく予定。


これからしばらく是露さまの過去や虹色真珠の由来、犬夜叉たちが失踪した顛末など、この物語の心臓部に踏み込む展開となります。やることが多いこのあたりが一番構成に苦労しそうですが、とわちゃんたちが早く両親と再会できるようがんばります。

ではみなさま、良いお年を。


オマージュすること火の如く:少年サンデーS 2023年/1月号2022/11/27


『異伝・絵本草子 半妖の夜叉姫』単行本1~3巻、好評発売中です!

 今回はおおまかに3パート構成です。

 最初のパートは秀吉編エピローグ。のちに天下人となる藤吉郎が内に秘めたエネルギー、ヤバい面を、妖怪と重ねました。作中に出てくる大人の男性は夜叉姫にとっては父性の物差し・投影対象でもあります。琥珀や草太のような暖かい人間とは違う種類の怪人物を出すことで、殺生丸さまへの不安を抱くように仕向けたのです。

 で、そのとわちゃんとせつなちゃんの不安を受けて始まる中盤。殺生丸さまが妖怪であっても愛情深い人物であると読者に明かしつつ、『犬夜叉』と『半妖の夜叉姫』の間にあったはずの、りんとの関係の変化を描いた場面。(コミカライズでは『犬夜叉』への依存・連携を強めたため、二人の関係が変わるプロセスは必要だろう)と考え、だいぶ前から「人間の恋愛描写とはテイストの違う、幻想的な演出の<概念的ラブシーン>を作れないか」と高橋留美子先生に相談してました。

「初対面で水をかけたのは、殺生丸を神様だと思っていたから」というのは、高橋先生がQ&A記事で答えていた裏話を拾ったものです。だからあそこは私の創作じゃなく史実。ただし、実はアニメ版『犬夜叉』ではりんちゃんが水をぶっかけるくだりはカットされてまして、ということはそこを擦るのはアニメ時空としてはレギュレーション違反ですね。とはいえ原作読者ならあの出会いは強く印象に残ってるはずで、執筆当時に作者の中にあったイメージ、いわば「語られざるエピソード」を追加してそれを土台にすればシーン全体に説得力が生まれます。だもんでこのネタを使わない選択肢はなかったです。

 そんなこんなで出来上がった殺生丸さまとりんちゃんの超モフモフシーン、高橋留美子先生には「いいですね。ファンも喜んでくれると思います」というお言葉をいただきましたんで、みなさんの心もモフモフすることを祈ります。

 最後のパートは・・・・まさかの『人魚の森』ネタ(笑)。

 いや、ほら、前回是露さまは「待てない殺す」って言ってたから、京都に着く前になんか仕掛けてくるはずじゃないですか。で、「竹林で怪しい霧に遭遇した夜叉姫の前に、怪しい美少女が怪しい感じに現れる」ってイメージが浮かんだので掘り進んだら、なぜかこうなったという。名前がかぶるのを避けてちょっともじりましたけど、どう考えてもキャラも構図もこれしかないだろという謎の確信(笑)。そのまま高橋先生に見せて「やっぱヤリスギっすかね」「笑っちゃったので今回だけは許す」となった次第です。人魚シリーズは漫画読みの心に突き刺さるマジすごい傑作ですので、未読の方はぜひ読んで。

 ところで「五里霧中」は中国・後漢時代の伝説が元ネタで、この「五里四方を覆う霧」というのは人を迷わせるために仙術で発生させたものなのだそうです。理玖のセリフにこの言葉が自然に出て、あとで辞書で調べて「へー! まさにこのシチュで言うべきセリフじゃん!」って思いました。キャラが私の知らない知識を元にアドリブで喋った・・・あるんだ、そんなこと。