OVAアフレコレポート(3/5)2010/05/09


 で、ほんの二言ほどですが、声の出演をさせていただきました。

 ちなみに通常、アニメの録音はまず全体を通して録音し、その流れで録りにくい部分はあとで抜き録りします。全体通しての録音作業を「本線」と言いまして、これがまあみなさん一般的に思い浮かべるアフレコ風景ですね。大勢の役者さんの芝居のセッションは楽しいのですが、狭いスタジオで大勢がいっぺんに演じるにはいろいろ技術が要りますんで、新人の方なんかはキツいのではないかと想像します。自分の出番でどのマイクを誰と使うかとか、移動の際他の役者さんにぶつからないよう動くとか、諸先輩に遠慮しつつスタジオの席の位置を考えるとか(笑)。なにより恐ろしいのは、トチると全員の演技が一時ストップするということですね。

 ワタシは素人ですので、当然抜き録りです。が、それはそれで、他の役者さん全員手が空いているということでもあります。基本そういうときは休憩しに外に行かれるのですが、残った方はくつろいでその演技を見てたりするのです。事前に軽く練習をして、『絶望先生』の畑先生出演シーンをチェックして(笑)、「おそらくは暖かくワタシの芝居を見守ってくださるだろう役者さんたちの視線に耐えつつ、ビビらずにセリフを言えてる自分」を必死にイメージ。チビらずにいる自己イメージがだいたい出来上がったと思われたので、腹をくくって当日現場に行ったところ・・・・・・・その場でセリフが変更に

 台本にボールペンで指示を書き込みます。
「なにこれ!? なんかめっちゃ『プロの現場でよくあること』っぽい流れじゃね!? 役者っぽい!! これ今すごく本物の役者さんっぽいよ!!」
 冷や汗をかきつつ、ワタシの心の奥の中二がちょっと面白がって喜んでます・・・・・・くっ! 邪気眼が疼く・・・!!

 そして松岡音響監督、容赦ありません。ディレクションがマジなの(笑)。
「んー、そこ、キャラクターがいる場所は**でしょう。そういうときは****な感じに声出しますよね。もう一回行きましょう」
「はい、すみません、お願いします」
「演技のとき、身振りもしてみましょうか。その方が感情が出ますから」
「はい、ありがとうございます、お願いします」

 邪気眼が・・・・さすがにもう疼かない!!(笑)

 OK出るまでスタンリー・キューブリック映画並みにリテイクいただきました(笑)。みなさん笑ってらしたとは思うんですけど、こっちは振り返って調整室見る余裕なんかありませんから、リテイクのたびにビビりまくってましたよ。セリフ二言なんだからもう覚えたろうに、最後まで汗でしわしわになった台本構えて熱演(笑)。緊張で記憶が定かでないため、思い出せないのですが・・・・たしか平野綾さん、白石涼子さん、浅野真澄さん、中村悠一さんは間違いなくいらしたはず。「センセイ、がんばれー♡」という声援もいただいたような気がするのですが、もったいないことにそれが事実なのか妄想なのかも判然としないという。

 まあ、手をかけていただいただけのことはあるというか、あとで聴かせていただいたら、ワタシにしてはかなりマシだったように思います。あくまでもワタシにしては、なのですが(^_^;)。OKいただいて、スタジオに残ってらした役者さんたちに拍手いただいた時は、恥ずかしながら最高の瞬間でした(笑)。またしてもいい思い出をありがとうございました、川口監督、松岡音響監督、そして共演者のみなさん(←ツッコミ待ち)。

 あとで中村さんに「いやー、良かったですよ。あんな演技アプローチで来るとはさすがです」、平野さんに「ディレクションにちゃんとついて行ってましたよ! 先生すごい!!」」と褒めていただいたワタシの演技がどれなのかは、DVDでお確かめください。あきらかにそこだけアレな感じでので、すぐわかりますけどね(笑)。

(つづく)