ギアス発動! ちゅいーん!! :週刊少年サンデー12/14号2012/03/03

 この次15号は休載です。例によって雑誌に載っていないからといってワタシは休んで遊びに行ったりしているわけではありません。というわけで14号をギリギリで入稿したあと、飲み会にお呼ばれしていろんな方にお会いして遊んできました

 めちゃめちゃ楽しかったのですが、知ってる人はご存じな方ばかりなので、その顛末をあまり詳しく書くのはどうなのかと。あずまきよひこ先生にお会いした件の一部などはちょっとツイッターでつぶやいたりしちゃって、そこら辺はあんまり嬉しかったので仕方ない。元々は●雨沢●一先生が幹事の飲み会で、その場には他にも脚本家の●河内●楼さんや浅●真●さんや(自粛)。

 しかし真面目な話、実はそういうのをブログのネタにするときは結構迷います。同業者ならお互い様って部分もあるんですけど、相手が別の業界の方で、それが芸能界だったりすると特に。ひきこもってるワタシの生活にはそうそう面白いことはないわけで、たまにそういうことがあれば超嬉しいし自慢したいし、書けば読者やファンには喜んでもらえる記事になるのは間違いない。でも仕事を離れて遊んでくれたわけですし、ワタシが「このくらいはいいだろう」と思っても相手は違うかもしれない。まーその辺はワタシのさじ加減で判断するしかなくて、それで関係が悪化するならそれはその人とは相性が良くないと言うことなので、それ以上仲良くなるのはあきらめるしかないのですが。


 ちなみに年食って思うのは、そういう席でお名前を以前から存じ上げている方にお会いしたりした場合、とりあえず好意を伝えるのに遠慮はしちゃダメだなと。現実世界には照れていることを明確に伝える斜線や汗の記号もなければ、我々の声はたとえば釘宮さんのように可愛くないのです(笑)。

 だから自分が好きなら全力で「大好き!」オーラを出していいと思うのですよ。振られたら振られたで、好きな相手の気持ちとして尊重してあげればいいと思うのです。
 そんで、その「大好きオーラ」が「自分がどう思っているのか語りたい」「理解して欲しい」「こうして欲しいああして欲しい」という自分主体に何かを要求するのでなく、「ただ好きだと知って欲しい」「あなたの嬉しいことをしたいと思っていますよ」という風に相手を主体にできるようになれれば、それが真のリア充なのではないでしょうか。センセイはもうかなり手遅れなので、みなさんはその分もがんばってください(遠い目)。

白熱教室・腐男子の話をしよう :週刊少年サンデー12/16号・17号2012/03/18

 2本同時進行で仕事してました。

 さて、ツイッターで言いたかったことを、あらためてまとめてみます。これは自分の考えを整理するのが主な目的です。多くの方には十分伝わって、その上で楽しんでいてくれたいたようですし、踏み込んだ話は分かる人だけ分かればいいと思うものの、物語や人物を創作する人間として、たまにはこういう話をするのもいいかなと。みなさんが漫画やアニメを楽しむ上での参考になれば幸いです。

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 最近ちまたで言うところの「BL(ボーイズラブ)」や「やおい」あるいはそれっぽい作品についてはみなさんご存じですね。大好物ですか、そうですか。とりあえず今日はそれを、センセイ大まかに二種類に分けたいと思います。


A:男の子が、ふつうなら女の子に抱くような気持ちで、男の子を好きになる物語
 一般的に、男の子同士のキスシーンやベッドシーンがあります。ない場合も、キャラクターの男の子たちは、女の子を好きになるのと同じように男の子に惹かれます。そういうお話が好きな女の子のために描かれることが多いです。


B:男子同士が恋愛しているように解釈することもできたとしても、実際には具体的にそんなことは描いていない物語
 こちらの作品に登場する男の子同士は、いくら仲が良くても、相手を女の子のように好きというわけではありません。少年誌に載っている場合、ふつうの男子も読みます。というか、少年誌は基本的にはノンケの男子が読むのが前提です
 でも、恋愛も友情も、相手を大切に思い、惹かれるという点では本質的によく似ています。だから、見方によってはこの種の作品でも、いわゆる腐女子の皆さんが萌えることは可能です。いやむしろこっちでないと萌えられないという方が多いかもしれません。プラトニックなのに、ちょっとした仕草やセリフの中に恋愛感情を感じ取るのってドキドキしますね。まるで恋心を胸に秘めた人が、思わず本音を出してしまったかのようにも見えます。もそれは、読む人の脳内で変換されているのであって、実際にはそうではありません。限りなくそうとれるように描かれていたとしても、皆さんの人気を意識して描かれていたとしても、やはり違います。いろいろあった末、二人でメイクラブしちゃったりすることは、劇中公式展開ではまずありません。


 ワタシはBの作品を描いている漫画家で、私生活でも男性に恋愛感情は持ちません。Aのような物語を魅力的に書くこともできないでしょう。ただ、先に書いたように、友情だろうと恋愛だろうと、他人に惹かれたりこだわったりする気持ちというのは、よく似ています。友情も恋愛感情も、親子愛も兄弟愛も、人間関係の本質というのは、性的な関係もそうでないものも、「愛情」「執着」といった部分で共通です

 ワタシは、キャラクターが心の中に抱えている問題を、人間関係の中で解決していく・・・というお話が好きです。なので、キャラクターの隠された心情を考えたり、探したりするのは大好きです。優越感や劣等感、支配欲、承認欲求etc・・そういったものが、お互いの関係の中で、増幅されたり癒されたりするところにドラマを感じます。それは性別の組み合わせや恋愛とはまた別なんだけど、いわゆる腐女子のみなさんがB作品を読むやり方とよく似ていますね。

 当然、かなり話が合います。おそらく、嗅ぎつけるものも同じです。ただ、違うのは結論です。「秘めた恋心発見――(゚∀゚)――!!」ではなく、「秘めた恋心に良く似たもの発見――(゚∀゚)――!!」なのです。同じ作品の同じ箇所を同じように読み解いて同じようにキャーキャー喜んでますが、ビミョーに違います(笑)。

 キャラクターの心の陰影を解き明かしたり語り合ったりするのは、大変楽しくて好きですし、「きゃーその解釈萌えるうう!!」と言われるのも、大変嬉しゅうございます。が、大部分の<わかってて一緒に遊んでる人たち>に混じって、ときどきマジで「腐男子!!」「この人ガチなの?」「腐女子に媚びやがって!」と言われると「ちげーよ!! フツーに分析して遊んでるんだよ!!Σ(; ゚Д゚)カッ」となるのですが・・・・おわかりいただけますでしょうか、このあたり。


  キャラの分析や解釈は本来、別にエロい話ではありませんし、それはどんどんやった方が、物語だけでなく、自分自身の心の動きについても読解力が上がります。それこそが物語の一番の楽しさだとワタシは思います。しかしまあ、こうやって仕事明けに寝ないで書いているうちに、なんだかどうでも良くなってきたので、これ読んでもピンと来ないようならもういいです、腐男子で(笑)。

「あなたにはあらゆる悪をなしうる力がある。 だから私はあなたに善を期待するのだ」(ニーチェ) :週刊少年サンデー12/18号2012/03/29

 2本仕事進行中。
 ギリアムの持っている弱さ、邪悪さは誰の中にもあると思います。ワタシの中にももちろんあります。が、それにとらわれて周囲に呪いをまきちらすことしかできず、それが当たり前になってる生き物が、みじめでなくて何なのか。自分の中の悪と闘うこと、今よりましな存在に変わる努力を完全に放棄した人間は、醜く哀れです。人はそうそう強くも偉くもかしこくも優しくもなれませんが、たとえうまくできなくてもそうあろうと努力し続けるから、誇りを捨てずにいられるのではないでしょうか。今回のエピソードは、そのあたりが主題ですね。

 あと漫画の中では「ギシャー!」とかゆってますが(笑)、現実世界においてはそういう存在がどういう言動をするのかについても、ちょっと考えていただけるといいかなと。そういうことの積み重ねが、前回書いた「物語の読解力が上がることで、自分の心の動きへの読解力も上がる」ということだと思うのです。けしてカップリング能力が研ぎ澄まされるだけではなく。たぶん。


 さて、これから二ヶ月ほどかけて段階的に引っ越しをします。引っ越し先はそう遠くないので、夜中にコツコツ荷物を運び、最後に仕事場の機能を一気に移す予定。他にも予定が立て込んできてますので、ネットでの活動が低下する・・・・・かもしれないけど、現実逃避して逆に増えるかも(笑)。