サブタイトルが『戦場の絆』と似ていることにはあとで気づいた:サンデーS 2021年12月号2021/10/26



 「サンライズ作品だからサブタイトルは毎回ガンダムネタで行ったらどうかな(笑)」などと言っていましたが本気ではなかった。なのでちゃんと真面目に考えて『戦国の絆』ってつけたのに結果的にガンダムネタっぽい。偶然なのか無意識の所業なのか。


 さて、第二話はアニメにはないシーンの連続です。双子が生まれたシーンがかろうじて見覚えがある感じでしょうか。

 先にも述べたように、アレンジはコミカライズの宿命・・・主に分量の問題で。で、親たちが行方不明になったことを説明するとき、みんな一緒にすれば話がだいぶ早い。空飛ぶ牛車に乗れば、絵的にも一発。もろはちゃんとせつなちゃんは一緒に育っててすでにコンビを結成しているなど、序盤の情報を剪定してまとめ、漫画の展開をスピーディーにしております。退治屋の村や屍屋もすぐに登場するんですが、いまはざっくりと「育ての親は楓ばーちゃん」とし、メインクエスト進行が優先。あ、時代樹の精が面をしてて言葉遣いが古文っぽいのは、桔梗さまのキャラクター性を少し抑えて「彼女の心を受け継いではいるけれども、あくまでも別人」であることを強調するためです。ゲスト出演は嬉しいけれども、あれだけ苦労したおねえさまですからね。「ご本人は彼岸で安らかにしている」ということは、いくら強調してもやりすぎってこたないだろうと思って(笑)。印象はだいぶ原作と違っちゃいましたけど、理玖くんや夢の胡蝶などもアレンジした形で織り込めたので、独自色強めではありつつも、原作から離れすぎずに構成できたんじゃないでしょうか。

 いっぽう、圧縮形態に合わせる形でキャラクターの掘り下げも行いました。もろはちゃんとせつなちゃんがすでにお互いを信頼しあっている関係性、歳を取って脆くなっている楓ばーちゃんの心情描写なんかは、アニメ原作とは世界線が少し異なるコミカライズ版ならではのアプローチです。なかなか良い味が出たし、こういうのがメディアミックス展開の醍醐味だと私は思います。
 私のこだわりポイントは「大人なので冒険に行けない草太パパ」のシーン。行きたいよね、物語の世界。でも大人になったウェンディはネバーランドに行けないという。草太パパはおっさんだけど。コミカライズでの草太パパには、物語の世界に憧れる、大人になれないオジサンであるところの私の代弁者という仕事もしてもらってます(笑)。


 アレンジを加える際には「アニメと相乗効果が生まれるように」という気持ちを込めてます。アニメの方は新しい世代、特に低年齢層が楽しめて『犬夜叉』世界への入り口となることを意識していると思われるので、大きなお友達である私としては「じゃあこっちは『犬夜叉』との連携度をちょっと上げて、ついでに和風ダークファンタジー風味をやや強めに」って方向に舵を切り、「わーいやしゃひめのまんが版だー♪」ってうっかり読みに来た子供をくぱあーっと沼にひきずりこみたいというか(笑)。設定や構成は多少変わってますけど、実はよく見るとまったく新しい要素ってのはあまりなくて、あくまでもアニメ版あってこその脚色です。アニメ見てからコミカライズを読んだ方が三姫の可愛さが引き立つし、コミカライズ読んでからアニメを見るとキャラに陰影が加わって、より愛おしさが増す・・そんな仕事になることが目標です。


 前回のゲスト妖怪は原作通り三ツ目上臈さんでした。今回は麒麟丸さまの配下が動き出す前のジャブとしてなんかいい妖怪はないかと考えた結果・・・『犬夜叉』での登場順にちなみ、四魂の玉が飛散する原因を作った、懐かしい屍舞烏さんにゲスト出演いただきました。今回の烏たちはあの個体の子供たちという裏設定で、なので七羽います。いやほら、烏は山に七つの子があったというではないですか(笑)。

 途中チラッと出てくる十二単(じゅうにひとえ)の妖怪の正体は・・・ヒントがたっぷりすぎるのですでに察している『犬夜叉』ファンもいるかと思いますけど、次号まで内緒にしつつ、楽しみにしててくださいね。



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