高鳴る未来へ :サンデーS 2025/08月号 ― 2025/06/25
最終話はかなり原作アニメに近い構成じゃないでしょうか。アレンジに関してもここまで来たらもう解説しなくてもその意図や私の匙加減はだいたいわかっていただけると思います。
とはいえ、「娘たちだけじゃなく殺生丸とりんもハネムーン(?)へ」・・・実はこれは私も予想外でして。『犬夜叉』最終話のかごめちゃんと重ねて「殺生丸さまがタイムループを終えて新しい明日に向かって歩き出した」「その新しい明日を、りんちゃんと積み重ねていく」って流れのセリフで締めたくて、会話がそうなるように仕向けていたらなんかあの夫婦も旅に出ることになっちゃったのですよ。
「少年漫画らしく少年少女が未来に旅立つラストなのに、それを見送るはずの両親も未来に旅立つって、あんまり見ないパターンだww」って思う一方、殺生丸・りん・邪見さまの旅がまた始まるのはワクワクします。まあ、夜叉姫の成長譚を描きつつ、裏テーマとして殺生丸の青春と成長を描いてたんだから、こういうのもアリかもしんない・・・というわけで、コミカライズはダブル旅立ちエンド。
私としては全編通してかなり良い仕事ができたと思ってます。もちろん読み返すといろいろとアラや至らなさへの後悔はあるものの、描いてるときはその時々のコンディションで精一杯頑張ってたので、今は最後までやり切った達成感が大きいです。
他人のIPでファンの皆さん全員と解釈一致するのは無理な話で、口に合わなかった方には申し訳ない。紆余曲折あってアニメ企画はあのような物語になり、私はその大枠を壊さない範囲で自分のやりたいことをぶち込みつつ漫画としてまとめ、それを高橋留美子先生の考えとすり合わせて合格をもらった結果がこのコミカライズです。少なくとも高橋先生と隅沢さんと私、あと担当編集、特に『犬夜叉』強火ファンのサンデー岡本氏、元るーみっくプロ・チーフアシのうちの奥さんとの共通の好みには沿った仕上がりですので、戦国御伽草子世界で起こりうる可能性の解のひとつとしてご笑納ください。劇中で「宇宙は枝葉を広げていく」としたのは、みんなの中にある他の可能性も否定しないためでした。いつか高橋先生の気が変わって、これとは違うまったく新しい戦国御伽草子世界をお描きになる宇宙もどこかにはきっとある・・かもしれない。あって欲しい。
ともあれ、関係者の熱意によりアニメ『半妖の夜叉姫』は生まれ、そのおかげで我々ファンは奇跡的に犬夜叉や殺生丸たちとまた会うことができました。そのことに感謝しつつ、私は私にできるベストを尽くしてコミカライズさせてもらったわけで、今のところこれ以上のことや他のやり方はたぶん私には無理。なのであとはもうできるだけたくさんの『犬夜叉』『半妖の夜叉姫』ファンがこの漫画を気に入ってくれることを祈るだけです。単行本全10巻は読みやすい分量なんで、ぜひお買い求めくださいませ。最終第10巻はたしか8月ごろ発売。
そんなわけで、四年近く執筆してきたコミカライズ『半妖の夜叉姫』はこれで完結です。執筆中はずっとキャラクターたちを家族のように感じてました。大好きな高橋留美子先生の作品世界・登場人物とこんな時間を過ごせるのは夢のように楽しかったです。
高橋留美子先生はじめ関係者の皆さま、そしてるーみっくファンの皆さま、最後までお付き合いくださってありがとうございました‼︎ またどこかで、別の漫画でお会いしましょう。