白熱教室・腐男子の話をしよう :週刊少年サンデー12/16号・17号2012/03/18

 2本同時進行で仕事してました。

 さて、ツイッターで言いたかったことを、あらためてまとめてみます。これは自分の考えを整理するのが主な目的です。多くの方には十分伝わって、その上で楽しんでいてくれたいたようですし、踏み込んだ話は分かる人だけ分かればいいと思うものの、物語や人物を創作する人間として、たまにはこういう話をするのもいいかなと。みなさんが漫画やアニメを楽しむ上での参考になれば幸いです。

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 最近ちまたで言うところの「BL(ボーイズラブ)」や「やおい」あるいはそれっぽい作品についてはみなさんご存じですね。大好物ですか、そうですか。とりあえず今日はそれを、センセイ大まかに二種類に分けたいと思います。


A:男の子が、ふつうなら女の子に抱くような気持ちで、男の子を好きになる物語
 一般的に、男の子同士のキスシーンやベッドシーンがあります。ない場合も、キャラクターの男の子たちは、女の子を好きになるのと同じように男の子に惹かれます。そういうお話が好きな女の子のために描かれることが多いです。


B:男子同士が恋愛しているように解釈することもできたとしても、実際には具体的にそんなことは描いていない物語
 こちらの作品に登場する男の子同士は、いくら仲が良くても、相手を女の子のように好きというわけではありません。少年誌に載っている場合、ふつうの男子も読みます。というか、少年誌は基本的にはノンケの男子が読むのが前提です
 でも、恋愛も友情も、相手を大切に思い、惹かれるという点では本質的によく似ています。だから、見方によってはこの種の作品でも、いわゆる腐女子の皆さんが萌えることは可能です。いやむしろこっちでないと萌えられないという方が多いかもしれません。プラトニックなのに、ちょっとした仕草やセリフの中に恋愛感情を感じ取るのってドキドキしますね。まるで恋心を胸に秘めた人が、思わず本音を出してしまったかのようにも見えます。もそれは、読む人の脳内で変換されているのであって、実際にはそうではありません。限りなくそうとれるように描かれていたとしても、皆さんの人気を意識して描かれていたとしても、やはり違います。いろいろあった末、二人でメイクラブしちゃったりすることは、劇中公式展開ではまずありません。


 ワタシはBの作品を描いている漫画家で、私生活でも男性に恋愛感情は持ちません。Aのような物語を魅力的に書くこともできないでしょう。ただ、先に書いたように、友情だろうと恋愛だろうと、他人に惹かれたりこだわったりする気持ちというのは、よく似ています。友情も恋愛感情も、親子愛も兄弟愛も、人間関係の本質というのは、性的な関係もそうでないものも、「愛情」「執着」といった部分で共通です

 ワタシは、キャラクターが心の中に抱えている問題を、人間関係の中で解決していく・・・というお話が好きです。なので、キャラクターの隠された心情を考えたり、探したりするのは大好きです。優越感や劣等感、支配欲、承認欲求etc・・そういったものが、お互いの関係の中で、増幅されたり癒されたりするところにドラマを感じます。それは性別の組み合わせや恋愛とはまた別なんだけど、いわゆる腐女子のみなさんがB作品を読むやり方とよく似ていますね。

 当然、かなり話が合います。おそらく、嗅ぎつけるものも同じです。ただ、違うのは結論です。「秘めた恋心発見――(゚∀゚)――!!」ではなく、「秘めた恋心に良く似たもの発見――(゚∀゚)――!!」なのです。同じ作品の同じ箇所を同じように読み解いて同じようにキャーキャー喜んでますが、ビミョーに違います(笑)。

 キャラクターの心の陰影を解き明かしたり語り合ったりするのは、大変楽しくて好きですし、「きゃーその解釈萌えるうう!!」と言われるのも、大変嬉しゅうございます。が、大部分の<わかってて一緒に遊んでる人たち>に混じって、ときどきマジで「腐男子!!」「この人ガチなの?」「腐女子に媚びやがって!」と言われると「ちげーよ!! フツーに分析して遊んでるんだよ!!Σ(; ゚Д゚)カッ」となるのですが・・・・おわかりいただけますでしょうか、このあたり。


  キャラの分析や解釈は本来、別にエロい話ではありませんし、それはどんどんやった方が、物語だけでなく、自分自身の心の動きについても読解力が上がります。それこそが物語の一番の楽しさだとワタシは思います。しかしまあ、こうやって仕事明けに寝ないで書いているうちに、なんだかどうでも良くなってきたので、これ読んでもピンと来ないようならもういいです、腐男子で(笑)。