家族の肖像 :少年サンデーS 2023年/3月号2023/01/28



今回のエピソードまでが単行本第4巻収録となります。ここらで過去の出来事を一気に説明したいんですが、その間夜叉姫たちが完全に引っ込むのもどうかと思うので、ちょっと構成に悩み中。

七星は渾沌と同じく少し若返らせ、最初から是露さまの部下に。コミカライズでは「サディスティックな変態」というキャラ立てだと夜爪とかぶっちゃうため、夜爪とはじゃっかん方向性の違う「マゾヒスティックかつナルシスティックな変態」ということにしました(笑)。その結果として是露さまのキャラとも絡められたので、そこはうまくいったんじゃないでしょうかね。興奮して無自覚に是露さまの痛いとこついてくるという。ちなみに歯にグラデトーン貼ってあるのは昔のお化粧、「お歯黒」です。キャラ表には「貴族妖怪」って描いてあるのに、漫画では変態ばっか強調して貴族的なとこが減っちゃったなと思って。お歯黒はふつう既婚女性のお化粧ですけど、都の都会的おしゃれ貴族紳士もやってたのだとか。じゃあかごめちゃんや珊瑚ちゃんもお歯黒すんのかってことになるんですが、現代の美的感覚と違いすぎるので時代劇ではたいていスルーするのがお約束。「退廃的な貴族」ってキャラを表現するとき雰囲気出すために急に出てきたりします。

姫たちが旅をする設定にしたとき、「屍屋には『座』(商売する権利と資格を独占する組合みたいなもの)があって、全国チェーンにしたらどうかな」「昔のRPGゲームみたいに全国どの店にも同じ顔のオッサンがいる」というネタを思いついて、このたびそれを採用。獣兵衞さんと竹千代はストーリーを構成する部品としては省略する選択肢もあったと思うのですが、彼らがいないと『半妖の夜叉姫』らしさが半減するような気がします。ので、今後も登場してもらう予定。

おやかたさまの説明の通り、妖霊星はざっくり「天体タイプの妖怪」と定義しました。意志・悪意を演出するために目玉をつけ、迫力が出るようあれこれ悩みながら描いてたんですけどね。入稿したあとで「なんか鬼●郎のバック●アードさまに似ちゃったかな・・・」と気づいたという。「このロ●コンどもめ!!」ってネットミームでしか知らないんだけど。

おやかたさまと若殺生丸さまは劇場版犬夜叉『天下覇道の剣』準拠、でもあれよりもちょっと前です。トビラだけうっかり若殺生丸さまの帯に柄つけちゃいましたけど、帯は無地が正解ですね。<本編よりもさらに血の気が多く、まだ未熟さが残る若者>として描きましたが、親子関係や心理描写にあんまり踏み込んじゃうと、人間くさくなりすぎて妖怪としての神秘性がなくなります。かといって遠慮しちゃってもキャラが生きません。ので、芝居にはかなり神経を使いました。ご子息もなんですが、おやかたさまが奥方への気持ちの片鱗を表明するというのも迷ったポイントで、でもそこは私がずーっと「御母堂さまのことは!? ねえ十六夜さまラブもいいけどチラッとでもいいから御母堂さまのことにも触れて!?」って思ってたのでやむなし。20年越しの個人的な何かが。


アニメではおやかたさまや若殺生丸さまと絡まなかった冥加じいちゃんを出すにあたり、高橋先生に「ちょっと若く描いていいですか」と相談し、あのような仕上がりに・・・いやまあ、獣兵衞さんとか七星とか妖霊星とか冥加じいとか、ファンからすると割と重要度低いキャラだとは思うんですけどね。冥加じいに『犬夜叉』でやった毒抜きを再現してもらったとことか、もっと褒めて褒めて。

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