OVAアフレコレポート(1/5) ― 2010/05/06
某月某日、某所でOVAのアフレコが行われ、もちろんワタシは見学に行かせていただきました。
みなさんお忙しいので、スケジュール的に一度に収録するのは難しいだろうと思っていたのですが、一人も欠けずに集まっていただけました。そうそうたる役者さんがずらりと揃っていらっしゃるのを見たときには「ああ、本当にまた演じていただけるんだなあ」と、かなりグッときましたね。
今はもう、自分の漫画から聞こえてくるのは全部この人たちの声と芝居です。でも中学生編のそれはワタシの頭の中の妄想だったわけで、それが現実になったという変な感覚。
収録はみなさん一年間つきあったなじみのキャラだけあって、サクサクっと・・・・・・・・・・というわけにはいかないのがこの作品。例によって30分番組としてはかなり時間をかけて、TVシリーズからのキャラの微妙な成長を表現してくださいました。
今回に限ったことではもちろんないのですが、みなさん前もって驚くほど入念にプランを立ててきてくださってて、それを現場でのセッションでガシガシ修正・調整してくださるのね。ワタシ自身がキャラの陰影をネチネチと考えるタイプなので、役者さんたちがそこを誠実に分析・読解してアウトプット、フィードバック修正していく様子は、なんかもうたまんない。「ああ、わかってもらえた!」っていう。職種はまったく違うけど、単に「演じていただいた」というカンジではなく、「一緒に作っている」という手応えが味わえるというか。
だから声が載っかっていくのは、目の前で自分のモノクロ原稿に、熟練したアーチストの手でていねいに美しい色がついていくような快感です。「そんな色、自分では思いつかなかった。でもたしかにそこはその色です、ありがとうございます!」みたいな。
そして音響監督さんはひじょうにきめ細かい演出をする方で、ワタシはTVの第一話のときから、この方のバランス感覚とか場面をイメージする力、キャラ読解力がものすごいのに感服していたのですよ。演技指導がもうね、いちいち全部メモしておきたい。リアリティーとアニメ的ファンタジーの狭間で、重視すべきところはどこで、それはどんな手触りなのか。端で見てるとすんごい作劇の勉強になるんで、ワタシがスタジオに行くのはまあ、役者さんたちの仕事を見たいというアレももちろん大いにあるわけですが、松岡音響監督に学びに行ってるというのが本当のところだったりもします。
で、ちょこちょこと鋭い演技指導が入り、試行錯誤しながらテイクを重ね、OK出たときにはみなさんほっとして満足そうないい顔をなさるという・・・・・これが実にイイ(笑)。
そんなわけで、劇中の子供たちが少し成長し、大人たちもそれに合わせて変化している様子がお楽しみいただける芝居が収録できたと思います。
(つづく)