重版出来! :少年サンデーS 2022年/03月号2022/01/27



  単行本第一巻、売れ行きがたいへん好調だそうで、ありがとうございます! 初版が少なくていろいろと心配してましたが、緊急重版が決定しました。とりあえずはいい滑り出しということでホッとしました・・・高橋留美子先生には「やーりーたーいー!」ってダダこねて、サンライズさんでは隅沢さんはじめスタッフのみなさんに「喜んでもらえるような仕上がりになるよう頑張りますので!」って言って始めた仕事なんで、絞った初版部数がぜんぜんハケなかったらどうしようかと。今後もアニメともども一緒に楽しんでいただけたらと思います。

 発売中の週刊少年サンデー本誌・9号には、第一話が出張掲載中です。

 



 さて、第五話からは弥勒さま・珊瑚ママ・鋼牙アニキが本格参戦です。

 ガンダムファンにはおなじみ「通常の三倍!!」というセリフ・・・・すいません、入れちゃいました我慢できませんでした(笑)。

『犬夜叉』での鋼牙アニキは四魂のかけらを脚に仕込んでいたわけですが、それを失っても仲間をぶっちぎる速さを誇ります。その状態で「通常の妖怪の三倍」ですので、かけらを装備すると6~7倍説。ていうか通常の妖怪って何。

 若者の物語であった『犬夜叉』での彼は、「不良少年グループを率いる可愛いワル』でした。しかし『夜叉姫』は親子の物語でもあり、鋼牙アニキは親世代に属するキャラです。コミカライズではどう解釈するか考えた結果、「お堅い仕事についてなくていつまでも子供っぽく、大人たちにはあまり良く思われてないけど、親類の子供には慕われる叔父さん」といったイメージに(笑)。

「もろはちゃんの散魂鉄爪を軽くあしらいつつ懐かしがる」という登場シーンを描きたくて、ずっと楽しみにしてました。漫画にそういうのがあるのかはわかりませんが、「こんな可愛い仔犬を」「腹いっぱい生肉食わせてやる」はたぶん彼のアドリブです。

 弥勒法師さまはアニメ準拠の長髪で登場し、戦いに備えて珊瑚ちゃんに散髪してもらって『犬夜叉』の頃の姿に戻るということにさせてもらいました。夫婦としての二人の暮らしも演出できて、ファンに喜んでもらえるいいアイデアだと思うんですけど、いかがでしょう。ちなみに当時の剃刀を調べて珊瑚ちゃんに使ってもらったものの、あまり見えない構図と芝居になっちゃったのが惜しい。


 今回は『MAO』の式神・乙弥くんがカメオ出演。衣装は彼の本体の人形に合わせました。あれ、たぶん博多人形だと思うんですが、実は博多人形のスタイルができあがったのは『夜叉姫』の時代の30年ほどあとになります。なので本当はちょっとフライング。

 「邪見さまにいつになく妙に行き届いた指示を出す殺生丸さま」は、原作とちょっと違う『異伝』時空キャラとして攻める最初の一手です。ビビって中途半端になるのが一番良くないと思うので、物語が進むにつれてかなり踏み込んだ描写もしていくつもり・・・もちろん高橋先生に相談しながらですけどね。もうめっちゃ相談しますけど(笑)。

 シャーロキアンとしていろんな人の描くホームズを楽しんでる私としては、このコミカライズ版を『犬夜叉』のパスティーシュ作品として描いているし、そのように読んで欲しいと思ってます。高橋留美子先生に「ちゃんと殺生丸っぽいよw」って言ってもらってもそれは「許容範囲」ってことであって、「先生がご自分で描くとしたらどうなるか」は別の話ですしね。私は高橋先生のオーケーが出る範囲で私の殺生丸さまを描くしかないので、読者のみなさんは「自分にとってもかなりちゃんと殺生丸さまです!」「椎名殺生丸は自分の殺生丸とはぜんぜん違う」などと楽しんでくださいませ。イヌヤシャーロキアンとして。

 

 虹色真珠は「とある原因によって妖怪の体内に<核>が生じ、時間をかけて妖力で磨かれてできる」としました。真珠だし。ついでにアニメよりちょっと数を減らすかも・・・ほら、虹色っていまの日本では七色ですけど、国や地域によって違うじゃないですか。昔の中国では五色ないし六色だったそうだし。まあ現時点では「姫たちの体内に3個、殺生丸さまが邪見さまに手渡した出所不明のものが1個、計4個登場してる」ことだけ把握しておいてください。

 麒麟丸の部下「四凶」はここで一気に二人を投入。若骨丸くんは「お父さんが武器」ってキャラにアレンジ。アニメでコミカルな悪役だった饕餮(とうてつ)どんは人間体での登場、そこから変身するという設定。アニメほどじっくり尺をとって描く余裕がないので、ダークファンタジー的な味付けで登場場面の少なさを補うという作戦です。ダークったって人間に化けてたってだけなんですが、あんなのが人に紛れてるかもしれないって私はちょっと怖いから。


そしてコミカライズ世界線における凱風師匠の役どころについては次回いよいよ明らかに。アニメ原作見た人はいろいろニヤリとしてもらえるアレンジだと思いますので、次回もお楽しみに!