アコレード(叙勲式) :サンデーS 2023/11月号2023/09/26




 コミカライズの理玖は「とわの騎士」となりました。殺生丸さまには邪見、とわには理玖・・という解釈ですかね(笑)先日高橋留美子先生が受勲なさったシュバリエ勲章とひっかけたというか。シュバリエ(chevalier)はフランス語で「騎士」という意味なので。でもイギリスのナイトとは別物で、肩に剣を当ててもらう儀式はなかったし「高橋留美子卿」にもなってないとのこと。


 で、その叙勲の儀式を、とわとの絆だけではなく、理玖の再生・自立の通過儀礼として挿入。ロマンチックだし、日本の戦国時代とのギャップや相性のバランス等、悪くない演出だと自分では思います。ただ、担当には「読者はこの儀式知らないかも。ていうか私も知りませんでした」って言われて(笑)。ま、あとで何かのおりに「あっ、夜叉姫の漫画で見たやつだ!」ってなるのもええんとちゃいますか。わしら世代のフランス革命に関する知識は、ほぼ『ベルばら』がソースやで。


 理玖の妖怪モードはいかがだったでしょうか。妖怪というのはただ異能を持つだけでなく、根本的に人外のバケモノな部分があるはずで、でもアニメの理玖はお行儀よくそれをあまり表に出さないようにしているのだと思います。大事な人のために隠しておきたかった本性をさらけ出すというのはエロくないですかどうですかセンセイは好物です追い詰められた女性の人外キャラが「見ないで・・!」とか言いながら好きな人の目の前で変身したりするシチュはいいですね(早口)。そして演出記号としては「着物を脱ぐ」というのがすでに「心を開く」「無防備になる」「自分を解放する」などのメタファーなんで、本当ならあのシーンはふんどしが(まだ言ってる)。


 今回もう一つの見せ場は紫織さんの「出ていけ」アンコール。紫織さんが登場すると決まったときからこれをやりたくて、見開きで描けて満足です。いちおうアニメ版での関係を意識して、せつなと連携する流れは作っておきました。そして訓練された『犬夜叉』ファンは「うちのかあちゃんは面食い」で笑ってくれた・・と思うのですがどうか。とうちゃんイケメン妖怪でしたもんね(笑)。


 ワダツミヅチに取り憑いてた亡霊の中には、大獄丸じいちゃんっぽい妖怪の姿も。あれがご老体本人なのか、同族の別個体なのかはご想像にお任せします。ただまあ、仮にご本人だったとしても、もはや生前の自分が何者だったかもさだかでないくらい虚ろな抜け殻で、怨念だけの存在でしょうね。「爺さんの怨霊がまだしつこく紫織をつけ狙っていた」って案もあったのですが、それだと『犬夜叉』で2回もトドメを刺されたのに元気すぎて、百鬼蝙蝠編のラストの余韻に水をさしちゃう。でも「紫織が積み重ねた『犬夜叉』以降の人生」を演出するためには混じってた方がいいだろうということで、モブ妖怪にしれっと混じってカメオ出演してるくらいが丁度いいバランスかなと。


 昔の漫画では「犬笛」がよくネタになってました。調べてみたらコウモリが使う周波数は犬の可聴域よりもさらに高いそうです。指向性の強い音波を当てて泡を発生させたり骨伝導で会話したりとか・・・  まあ、七人隊の銀骨さんがいた世界だし「コウモリは犬に聞こえない音を使うんですゥー」含めて漫画超科学ってことで。


 紫織さんを大胆にアレンジしたしわ寄せが全部海蛇女さんの方に行っちゃって、ひたすら悪役かませ犬に徹してもらった彼女にはなんかすごく申し訳ない。いちおう「海蛇女は地中海がルーツの妖怪で、3姉妹。一匹は退治されて有名な神話の元ネタに。残りの二匹は地元にいづらくなって外洋へ」「アニメ版のワタツノタマヒはだいぶ温厚で、コミカライズのワダツミズチとは姉妹の別個体。インド洋経由で極東まで来たのがどっちかという世界線分岐」って裏設定。



 次回から舞台は九州です。ここで、描いてる私自身も意外なアレンジ・・・琥珀と翡翠が参戦。物語後半の再構成は彼らにも手伝ってもらうことになりました。詳しいことはまたのちほど。次回もお楽しみに!


コメント

トラックバック