アニメ打ち上げ/お疲れ様でしたー!2009/03/31

6月のライブも楽しみです(^o^)

 某月某日、池袋サンシャイン国際水族館をお借りして、アニメ『絶対可憐チルドレン』関係者打ち上げパーティーが行われました。新番組立ち上げでめちゃめちゃお忙しい中、多くのスタッフ・キャストのみなさんが来てくださって、美しい魚でいっぱいの水槽を眺めながら飲み食いするという、素晴らしいひととき。

 水族館は場所によってはこういうサービスを提供してます。ウチのカミさんが「伊号つながりで」と思いついて小プロさんにお願いしたのですが、イルカは・・・あれ? どこ? いやオヤジギャグが言いたいわけではなくて、今いないみたい。


 なぜか川口監督は包帯まみれで腕を吊った姿で現れて、一同ビビりました。ワタシがまず思ったのは「俺じゃない! アニメに不満はないから動機がない!!」(笑)。
 最終回の作業を終えた後泥酔して転び、大けがをなさったのだそうです。この数年、続けてものすごい量の仕事なさってましたから・・・お大事に。そして本当に、お疲れ様でした。

 ワタシは会場で主賓のように扱っていただくのが落ち着かなくて、猪爪さんと喫煙所で話してる時間が多かったよーな。猪爪さんは一番ワタシと関わってくださった方で、川口監督の盟友であると同時に、ワタシとの橋渡し役で、理解者で、信頼できる批評家でした。シナリオ陣にはたぶん恨まれるだろうなあと思いつつも、必要なことを全部言えたのは、彼が後半のシリーズ構成を引き受けてくれたからこそです。『レスキューフォース』だけでもキツい作業量なのに、最後まで全く手を抜かず誠実につきあってくださって、ありがとうございました。

 いろんなセクションの方が、みなさん口々に「本当に楽しかった。もっと続きをやりたい」とおっしゃってくださいました。アニメが終わるたびにこういう会話はあると思うのですが、この作品では社交辞令でない熱意をみなさんから感じて・・・いや、ワタシの勝手な錯覚とか妄想じゃないよ、たぶん? 『チルドレン』を気に入って参加してくれた方、監督や加々美さんたちに惹かれて集まってくれた方が多数いらっしゃるという、異例の現場なのです。

 その士気の高さ、チームの素晴らしい雰囲気にあらためて驚かされると同時に、このプロジェクトのきっかけになれたことが嬉しくて光栄で。ワタシもぜひまたいつか、この同じメンバーで、少し成長したチルドレンを動かせる日が来ることを本気で願っております。

 加々美さんからは「この先も椎名作品がアニメ化されるときは、他にどんな仕事をしていても最優先で参加する」という言質を取りました(笑)。川口監督や猪爪さんの他、何人もの方がかなり本気で同様に言ってくださってますんで、二期・・・・・ひょっとしたら本当にあるかもですね、これは(笑)。そのためにもこの先も原作を盛り上げて、質・量ともにポイントを上昇させ、出資していただけるようがんばろうと誓いました。マジで。


 その後有志で朝まで痛飲したのですが、スケジュールがタイトなキャストのみなさんまでもが、かなりの人数最後までつきあってくださいました。

 平野綾さんなんか、武道館でのライブ直前でらしたのに、マネージャーさん先に帰して、ずーっとにこやかにオッサンたちの相手をしてくださって・・・・ていうかさせてしまってすみません。いや、半分以上は家中さんと小杉さんでしたが(笑)、ワタシとカミさんも少々。なんかものすごく漫画にお詳しくて、21のお嬢さんに『ポーの一族』や『ガラスの仮面』の話題が普通に通じるとは思いませんでしたよ(^_^;)。

 以前にも書いたけど、おとぎ話やアニメに出てくる<明るくて優しくて美しくて強い、国中に慕われるお姫様>っているじゃないですか。ワタシがそれを描くとしたら、間違いなく彼女をモデルにしますね。ウチのちょっと品のないおてんば姫・薫をかわいがってくださって、ありがとうございました! すっかり懐いてしまったあなたと別れがたく、「また綾ちゃんに会いたい!」と駄々をこねる薫が目に浮かびます。いつかかなえてやってくださいね。

 小杉十郎太さんには、昔のアフレコでのエピソードの数々をうかがったほか、「可憐Girl'sがもー可愛くて可愛くて、すごくて可愛い」という話で盛り上がりました。桐壺局長が二人(笑)。

 遊佐浩二さんは兵部について熱く語ってくださいました。50話で思いを皆本にぶつけるシーンが井上麻里奈さんのダブルキャストだったため、彼の中の兵部はまったく成仏できなかったのだと思われ。
「皆本には負けられない。やつの甘さが歯がゆくて、まだ託すわけにはいかない。いつでも殺れたし、何度もその機会はあったけど、あえて見逃してやったというのに、10年後のNYでもまだあのバカは。しかも賢木の野郎、お前は全部わかってるクセになんでこっちに来ないであいつに(以下略)・・・・・お酒が回ると役が完全に憑依してらっしゃいました(笑)。とりあえず、その場で兵部の将来を打ち合わせして、かなり細部まで煮詰めることに成功。「絶対演じさせてください」とのことで、ありがとうございます!!


 紹介すると喜ばれそうな、主演声優さんがらみの濃いめのエピソードばかり書いてますが(笑)、他のキャストやスタッフのみなさんとも写真をご一緒したり、サインや名刺を交換したり、よもやま話をさせていただいたり。おかげさまで、大勢で仕事をする楽しさと幸せを味わいました。

 当日お目にかかれなかった方々にも感謝の気持ちを伝えたく、打ち上げの席で読ませていただいたご挨拶をアップして、シメとさせていただきます。


 みなさん、お疲れ様でした!

 最初はワタシだけのものだった『チルドレン』を、一年もの間、これほど大勢の方が一緒に動かしてくれたことに感激しております。

 この一年、ワタシは作品とキャラクターを裏切らないように努めましたが、一方ではチームに配慮のない言動も多かったと思います。にもかかわらず、どの部門の方々も、折に触れワタシを尊重してくださって、いくら感謝しても足りません。

 みなさんのおかげで、言葉を尽くして議論することはもちろん、状況に応じて妥協することまでもがひじょうに楽しかったです。スタッフのみなさんが「なにがあってもこの作品は見捨てない。必ずいいものにする」と思っていてくださったからこそです。どうかワタシの失礼は、作品への愛情ゆえということでご容赦ください。

 みなさん、お金ではけして買えない愛情と熱意でもって、本当にがんばってくださいました。「捨て身になれるほどこのキャラクターたちに愛情を感じているのは、自分だけじゃない」というのは、物書きとして最高の時間でした。

 納品は最初から最後まで綱渡り (^^;)。死者が出なくて良かったです・・・いや本当に。そのくらいみなさん士気が高くて、実際過労で倒れたり、燃え尽きかけた方もいらっしゃるとうかがっております。頑張って支援しようと思ったモノの、ワタシ自身にもガタがきたりなんかして、あまりたいしたことができなかったのが申し訳ない。

 客観的な出来がどうなのかは視聴者の皆さんが判断することですが、おかげさまで同時期のたくさんの作品の中で存在感を発揮してくれただけでなく、長くファンに覚えていてもらえる、いい作品になったとワタシは信じてます。

 が、関わってくださった全員が、与えられた状況の中でベストを尽くしたものをファンに届けられたことが、送り手として何より嬉しいです。作品を送り出す楽しさや満足は、その成果を出すためにどのくらい努力したかどうかにかかってくるんじゃないでしょうか。その点では『チルドレン』はまちがいなく、すばらしいプロジェクトだったと思います。それはつまり、現場のみなさんはものすごくキツかったということでもあるのですが(笑)。

 指揮官としてギリギリのところで采配をとり、人材を引っ張ってきてくれて、同じ条件でできる以上のことを可能にしてくれた川口監督には特に感謝しております。

 この先も原作は続きますが、もうワタシ一人のものではなく、関わったみなさん全員の作品の続編であると考えて、これまで以上に愛情をそそいでいく所存です。また、これからのみなさんそれぞれのお仕事も応援しております。

 ありがとうございました!! 

最終回アフレコ2009/03/30

この一年で、一生分の美女にお会いしたような

 某月某日、都内某所でのアフレコ最終回にお邪魔してきました。

 レギュラー陣ほぼ全員、役者さんだけでも30人ほどが集まってくださっての収録。その人数を想定してないスタジオ内は酸素が不足気味で、そのおかげで、休憩中にゆかなさんが釘宮さんに寄りかかって目を閉じているという、今思い出すと素晴らしいシーンを目撃できたのですが(笑)・・・そのときはそんな目線で喜んでる場合じゃなかったです。調整室とスタジオは空調を共有してるんで、ワタシも油断すると頭がぼーっとするという感覚を味わいました。マッスル役の三宅さんとか倒れるんじゃないかとマジで心配しましたよ(銀行強盗の回にそんなシーンあったもんね)。みなさん、本当にご苦労さまでした。

 その日のダンドリは、女性キャスト全員での『早春賦』合唱を最後に録音してオールアップという、ドラマチックな流れ。本編の内容がああな上、それはヤバいよ、センセイ泣きそうだよ。しかも本番終了後、特別にお願いしてその音源を再生してもらい(エンジニアの方が講堂っぽい反響までつけてくれました)、ウルウルしてたところに・・・・キャスト全員がこっそり寄せ書きしてくださってた台本をプレゼントしてくださるというサプライズが! うわあああああああ(T_T)!!

 ちょっとでも泣いたら、どう考えてもそのまま涙腺崩壊して号泣です。アフレコスタジオでは何もしていない原作者が、監督やキャストを差し置いて、ぐしゃぐしゃに涙を流して嗚咽するというのはカッコ悪すぎます。スタッフの作業はまだ全然終わってないというのに・・・・・こらえるのに必死。

「そんな、アフレコオールアップくらいで・・・。僕は監督ってわけでも・・ないんでずがら・・っ!!」

 卒業式での皆本の気持ちを、そのまま味わわせていただきました。ありがとうございます!!!


 その夜の飲み会では、遅くまでキャストや音響スタッフのみなさんとゆっくりお話しさせていただけて、幸せでした。

 いろんな方々と同席させていただきましたが、しばらくみんなから離れた席で、中尾衣里さん・福原香織さん・大浦冬華さんに囲まれるという栄誉にあずかりました。で、その際、この一年のお仕事やプライベートの思い出を話してくださってた中尾さんと福原さん―――書いちゃってすいません―――お酒が入ってることもあって、ワタシの左右両隣で泣いちゃったのです。いやワタシがいぢめたわけじゃなくて、お二人の個人的な思い出、それもそれぞれまったく別の理由だからね?

 いやー・・・・・<涙をこぼしながら、「すみません~」つって健気に笑顔を作ろうとする女性に挟まれる>というのもなかなかできない経験なのに、そのお声がアニメのヒロインて。センセイは20年間厳しい修行を積んできたおかげで、今こうして無事でいますが、普通のオタクなら即死です

 で、向かいに座ってくださってた大浦さんと一緒に、「泣かないでー(>_<)となだめているという、まさにその至福の瞬間・漫画家人生の幸福絶頂クライマックスジャストモーメントに電話が。

「もしもし、畑です。お疲れ様ですー」

 わーい畑先生だー\(^o^)/! さんざんいじって乗っかって迷惑をかけたのに、なんていい人なんだろう!
 あのね、いーまーはー・・・・・・・・

俺のターン真っ最中なんじゃボケエエエエエエ(笑)!!!!!!

「わざわざありがとう! 今忙しいから浅野さんに代わってもらうね? 浅野さーん!!

 ・・・・誰がワタシを責められようか(笑)。直前まで、浅野さんや白石さんと「畑くんって、可愛いよねー♡」「ねー♡」みたいな話もしてたんだけどさ(←フォロー)。


  というわけで、音響関係者のみなさま、お疲れ様でした!

 出演者はレギュラーもゲストも、みなさん本当に素晴らしかったです。このキャストを集めてくださった音響制作の浦狩さんや、優しく厳しく丁寧に現場を仕切ってくれた音響監督・松岡さんをはじめとする、音響チームのみなさんのおかげですね。ウチのキャラは裏表を持ったクセモノばかりで、苦労をおかけしました。中川幸太郎さんの劇判、ジェネオンさんの楽曲も含め、『チルドレン』の音は文句なく素晴らしかったです。

 役者さんたちには最高の演技をしていただいたのみならず、収録の合間には個人的にもご親切にしていただきました。男性も女性ももーホントにチャーミングな方ばかりで、それぞれがお持ちになっている魅力を直に感じることができて、ものすごく嬉しかったです。

 スタジオやイベント会場では、芸能事務所の方々にも大変お世話になりました・・・・青二プロダクション様には『美神』のときにもお世話になりましたが、今回は所属タレントさんだけでなく社員さんも超素敵ですと特筆させてください(笑)。

 みなさんと関われたこと、キャラクターをお預けすることができたことは本当に、本当に幸運でした。これからもたくさんのキャラクターとつきあっていかれることと思いますが、『チルドレン』で演じてくださった役が、皆さんの中で長く生きていてくれますように。そして願わくばまたいつか、みなさんとご一緒できますように!一年間、ありがとうございました!! (^^)/

 それから、可憐Girl'sにもありがとう!! タレントさんとしても女の子としても、大きく羽ばたいていってくださいね!!


 ではでは、明日は打ち上げでの思い出を。

アニメ第51話・最終回2009/03/29

みんなありがとう!

 
 アニメの締めくくりは、前半がコミックス第1巻・第1話、後半が15巻ラスト~16巻イントロまで。原作小学生編の最初と最後がアニメの最終回という、粋な構成です。前者<トンネルの誘惑>シーンには、この作品の一番重要なテーマがこめられてます。

 トンネルは一方が暗い闇、一方が明るい外に通じていて、チルドレンのポジションはその内部、ほの暗い入り口近くのトワイライトゾーン。生まれた境遇や過去を呪う犯罪エスパーの言葉で、闇に一歩引き込まれそうになる彼女たちを、皆本が明るい光の中に呼び戻す・・・というのがこのシーンの構成です。「無限の可能性を持っている子供と、それを導く青年の物語」として、意図するところとロケーションを一致させたわけですね。

 猪爪さんと川口監督は「アニメでは一年間皆本と暖めた絆があるため、チルドレンは原作通りの誘惑には乗らないだろう」とのことで、ワタシも同感です。そこで<犯人は自分の頭に銃を突きつける>ということにしてもらいました。この変更でチルドレンは、<闇の中から犯人を救う言葉と力を持たない>という立ち位置にちょっとシフト。が、光の中から現れる皆本に託したメッセージはそのままです。

「全ての人間、全ての子供の未来は輝いている」

 このメッセージが、あなたの心に届きますように。そしていつか、どこかで、それを必要としている子供の心を救いますように。


 マフィアの用心棒役として、アリがカメオ出演。彼の登場エピソードはテレビにはちょっと危なすぎて欠番だったのですが、彼が兵部に取り込まれるという展開は原作読者にも喜んでいただけたのではないでしょうか。声をセクシーに演じてくださったのは・・・・谷崎役の家中さん!

 家中さんは、当日のセッションやスタッフの意向で変更が加わることを承知の上で、入念に事前の演技プランを練るそうです。谷崎の楽しいアドリブも「なぜその芝居・台詞になるのか」を徹底的に検証した上で構築なさってて、この作品に限らず過去の演技やセリフを細部まで覚えてらっしゃるんですよ。そして、スタジオでサインしているワタシをしばらく見て、
「腕のどこかを必ず固定なさるんですね。以前絵師の役をやったとき、取材が足りなくて惜しいことをしたなあ。<不動の軸を持つ職人・人物>として表現できたのに・・・」
 絵描きでもなかなか気づかないポイントです。それに一目で気づいて、しかも「演技の中に、リアリティーと同時に主題・主張が生まれる」と。すごいと思いました。その役者魂に加えて普段の陽気で気さくな人柄・・・カッコイイ!

 さらに、ゲームに登場したドリーも登場。このためだけに、ちゃんと小清水亜美さんが来てくださいました! うわあ、ありがとうございます!! 大丈夫ですか浦狩さん! すごいよ浦狩さん!


 エピローグとなる後半Bパートには、作画に加々美さんが入ってくださいました。この一年、総作監・キャラデ・版権イラストと、その仕事量は膨大で、しかもアイキャッチにはかならず手をいれてくださってましたが、「絵を動かしたい・・・!」と、ずーっと悔しそうにしてらっしゃいました。というわけで加々美さんのターン!
 アニメーターさんたちの中にも、加々美さんとお仕事したくて参加してくださった方、何人もいらっしゃるんですよ。Aパートの藤崎さんたちもがんばってくださって、フィナーレを飾るのに相応しい、すばらしい作画でした。ありがとうございます!


 六條院小学校の子供たちの合唱は、女性キャストオールスターが歌ってくださったものです。豪華メンバーすぎて、音源をそのままCD等に収録するのはほぼ不可能だとか(笑)。お名前を並べると・・・

 平野綾さん/白石涼子さん/戸松遥さん/ゆかなさん/浅野真澄さん/藤村歩さん/中島沙樹さん/大浦冬華さん/清水愛さん/中尾衣里さん/佐藤利奈さん/下屋則子さん/千葉紗子さん/釘宮理恵さん/井上麻里奈さん/福原香織さん/後藤沙緒里さん/小清水亜美さん/國府田マリ子さん(台本掲載順。鶴ひろみさんは舞台出演中で別録りだったため、残念ながらいらっしゃいません)

 機材の都合で二回に分けて収録して重ねてて、チルドレンの三人は声色を変えて二回歌ってくださってます。みなさん子供の声を作ってるし、耳だけで特定するのは超人的な「ダメ絶対音感」が必要・・・ってか、できる人っているの? 

 最後の最後を飾るEDは、神曲「Over The Future」!
 素晴らしい最終回、そして素晴らしい一年間をありがとうございました!


 というわけで、毎週番組とこのブログにおつきあいいただき、ありがとうございました! ワタシが描いた<小学生編>はほぼすべて映像化していただきました。この続きは原作漫画で読んでいただけると嬉しいです(狙ったわけではないのですが、今月発売したコミックスがこの続きからになってます)。アニメスタッフこだわりの加筆・修正が入ったDVDもよろしく!

 それではみなさん、来週もここで会えるみたいに・・・・・・・・・・じゃあ、またね。



 あ、来週はともかく、このブログ的には明日もまたここでお会いしましょう(笑)。アフレコ最終回や打ち上げのご報告など、通常営業に戻る前の最後のおつとめ、もう少しだけおつきあいください。
 

アニメ第50話2009/03/22

おーばーざ・ふゅーちゃーわ--------!!

 物語の核心で対決する皆本と兵部の二人が、いつもと違うキャストというのはなんか不思議な感じ。兵部少年の声は井上麻里奈さん。邪悪さと純粋さを併せ持つ兵部少年を、妖しく演じてくださいました。兼ね役をクレジットに出さないのはアニメ業界の決まりなんでしょうかね。今回、ユーリよりセリフ多いような気がするんですが。

 この作品のキャラクターたちの多くは、子供時代に何かしら、やり残しや傷を抱えてます。まーそれが全くない人というのも、そうはいないはず。
 チルドレンの健全な成長を願う皆本も、心の中に少年を抱えていて、時にはそれにとらわれそうに。今回はその皆本に、チルドレンが成長の価値を説く・・・・・執筆当時、このエピソードの主題にぴったりのサブタイトルは「オーバー・ザ・フューチャー」しかないなと。

 何ものも恐れることなく未来へ向かっていく、可愛く頼もしい子供たちを描いた、六ツ見純代さんの歌詞。明るく前向きで力強く、でもどこか切ない、佐伯高志さん作曲・前口渉さん編曲の、ヒロイックな高揚感のあるメロディー。それを元気いっぱい歌ってくれた可憐Girl's・・・あそこにはワタシが形にしたかったものが全部凝縮されてると思いました。あの曲に後押しされて、チルドレンは成長した感があります。
 Girl'sがまた、ちょうど<可愛い子供>から<美しい女性らしさ>があふれてくる、その境目の時期なんですよね。それも目の当たりにして、自分のやってることは正しいと確信しました。子供とその成長を守ることは、絶対の正義。

 アニメがユーリをドラマに組み込んだことについては先週触れました。今回はもうひとつ、猪爪さんが主題に沿って追加した重要なシーンがあります。言葉にしてしまうのは無粋な気もしますが・・・子供時代を完全に受け入れた皆本は、兵部の心をさりげなく救ってしまう言葉を投げるんですね。皆本はたぶんそのことに気づいていなくて、兵部もただ、なぜか何も言い返せない自分を発見する・・・・猪爪脚本はこういう含みのあるやりとりの機微が、いつも素敵です。未来での薫との対決シーンをなぞった構図もイイですね。

 作監は近藤さん、コンテ・演出はもちろん川口監督。ありがとうございました!

 ところで、あの時間帯のアニメでは血がNG。鼻血もだめですか、テレ東さん(^_^;)。DVDではきっと鼻血が解禁・・・・いやどうだろう(笑)。ちなみに「反動蹴速迅砲」は「実は元をよく知らないんですけど、それっぽくお願いします」と監督にお願いしたら、それっぽくしてくれました。どのくらいそれっぽいのかよくわかりませんが、ものすごくそれっぽいので、たぶんああだと思います(笑)。

 そうそう、どさくさまぎれについにナオミが谷崎にデレてましたね。それを受けた谷崎の、人として何かが終わってるリアクションはワタシのリクエスト。家中さんのアドリブが加わって、さらに突っ走ってます(笑)。


 次週、いよいよ最終回!! たぶんワタシはテレビの前で泣くことになります。みなさんも万一の事態に備え、ハンカチかティッシュをお手元にご用意ください。

アニメ第49話2009/03/15

等価交換だよ兄さん

 釘宮理恵さん声優アワード主演女優賞受賞記念として(ウソ)、釘宮さんがひとり三役です。演技へのアプローチは人それぞれですが、彼女は役にチャネリングして入り込むタイプだと、ラジオか何かで聴いた覚えがあります。頭で作って声色を変えるのではなく、ちゃんと魂が切り替わってるのがわかって、すげえと思いました。

 あと、個人的に今回は白石涼子さんの「女の勘ナメてるやろ?」~「センセはどっち!!」にもゾクゾク もとい、ぐっと来ました。これもハーマイオニ効果でしょうか(笑)。ハーマイオニというのは・・・・・・・・えーと、「綾崎ハーマイオニ」というのが『ハヤテのごとく!』に出てきててですね(めんどくさいので以下略)
 「皆本ハーマイオニと名乗るんや!」は原作の段階から白石さんに言わせたくて書いたセリフだったのですが、このシーンに釘宮さんも絡んだのは予想外(笑)。監督、さすがです。あと畑先生、いつもいつも乗っかってすいません。

 さりげなーく紫穂の「たすけて、ぬ~べ~」も原作のまま入ってましたね(笑)。無断ですいません、真倉先生、岡野先生。岡野先生とは一度、家族ぐるみで食事したことがあります。90年代にオカルト漫画を描いていた仲間のよしみというか。そのうち『地獄先生ぬ~べ~対GS美神』とかどうですか、東映さん(笑)?
 そしてその後、やっぱりさりげなーく紫穂が手にしていたトゲトゲバットは・・・・すいません、おかゆまさき先生&とりしも先生。執筆当時ハマってたもので。今回、千葉さんもいらっしゃいましたしね!
 あと、美鳥ちゃんのストラップは、アニメスタッフが仕込んだ谷山紀章さんつながりの中の人ネタですね。賢木がアレを使うとはとても思えませんが(笑)。井上先生すいません。


 非常に物語の密度が高く、30分とは思えない内容でした。なのにバタバタしてる感じもなくて、サスペンスと萌えが詰まってます。

 原作からの大きな変更点は「記憶強盗」がユーリになっていること。原作では記憶強盗のキャラは掘り下げず、事件のための装置としました。それよりも、子供に戻ったことを徹底的に楽しげに見せることにページを割き、皆本の心のゆらぎを最優先で描写したわけですね。あれはあれで、かなり気に入っている出来です。なにせ、小学生編の最終回。納得いってなければ卒業は延期してました(笑)。

 が、アニメではそこに黒い幽霊を組み込んで、なおかつ原作で重視したパートはそのまま再現。猪爪さんの手腕はちょっとハンパないです。さらにテレビシリーズのクライマックスとして、バベル・パンドラ・黒い幽霊の総力戦の様相も呈してます。このエピソードの主題を語る上でも美しい脚色で・・・原作でもこうだったような気がしてきました(笑)。この事件をきっかけに、ユーリはチルドレンへの執着を持つようになったとか、美しいです。単行本が出る前だったらアニメに合わせて改稿してたかも。

 主題については次週明らかに。兵部の狙い、そして皆本とチルドレンの決断は・・・・。