TVアニメ『THE UNLIMITED 兵部京介』 第五話 :ストレンジャーズ -Portrait of the family-2013/02/09

『THE UNLIMITED 兵部京介』
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 すっかりパンドラに打ち解けつつあるヒノミヤ。無法者たちのひとときの休日・・・・・・・お察しの通り、これから何かが起こるフラグです。


 まさかのマッスルから始まったこのエピソードですが、当然のことながら彼は本作では脱ぎません(笑)。のちに駐日ロビエト大使として辣腕をふるう、有能なサポートメンバーとして登場。三宅さんは「あ、じゃああの股間からビーム出してたのとはちょっと違う感じですね? ちょっとシリアス・・・・シリカマ・・・・」とおっしゃりつつ声をアテてくださってました、ありがとうございます。シリカマて(笑)。
 ちなみに三宅さんは『マイティ・ソー』じゃないですか。んで中村さんは『キャプテン・アメリカ』。モブを演じるときお二人で仲良く楽しそうに芝居してくれてて、「おおっ、ソーとキャプテンが花屋敷でキャッキャウフフしているwww」と個人的にこっそり喜んでましたがアンリミとは関係ないですね、すいません。


 東山さん演じるユウギリの可愛さが今回の背骨。マジかわいい。リアル幼女のような芝居ですがリアル幼女よりはるかに可愛いという。まさに幼女・オブ・ドリーム。毎回「ん・・!」とか、台詞になってない発声の芝居が多い彼女ですが、それだけでもすごい存在感ですよね。
 私はキャラクター、特にヒロインや子供は<他人になびかないエゴ>があった方がキャラの生命を感じます。だもんで世話を焼く紅葉に「ひとりできめられる!!」と逆らうところなんかは大変ツボです。シナリオ段階で「あ、いいな」と思ってましたが、実際に芝居が入るとさらにキュンとしました。

 「エスパー×ノーマルの対立」というのは、本作では時には大人と子供の対立であり、時には持つ者と持たざる者の対立であり、個性と秩序の対立であり。私はどっちかが理不尽な悪であるとわかりきった対立は、単純すぎてつまらない。わかりやすくてやっつけると気持ちいいけれど、現実のそれはもっとモヤモヤしたものだからです。主義主張のどちらが正しいかではなく、対立によって生まれる断絶こそが、絶チル世界の中では最大の敵。今回のエピソードは私が書いたものではありませんが、描かれているのはやはりそういった類のものですね。

 遊園地の群衆は誰もユウギリに石を投げたりはしません。むしろ彼女の超能力の危険さを考えれば、冷たい態度になってしまうのは当然と言えます。しかし兵部は、誰の中にもある、それで納得してしまう心が嫌いです。

 世の中には「正・誤」「勝ち・負け」以外にも「美しい・醜い」「優しい・残酷」という価値観があります。「自分は正しい。相手は間違っている。だから相手の心に無頓着になっていい」と思うとき、ときに人間は醜く、残酷です。そういう行いをしているにもかかわらず、「正しい」がゆえに自分のことを善良だと思っている人は多い。また、「積極的に石を投げなければ荷担したことにならない」という考えも「寛容」とはほど遠いのではないでしょうか。そういった「マジョリティによる<正しい>残酷さ」への復讐のため手を汚すことも、兵部の生きる目的の一部です。迎えに来たのが三幹部でなく兵部だったら、たぶん大人げなくアンリミテッド(ひどすぎる)。

 まあでも、そーゆームツカシイことはともかく、とりあえずは「いい悪いはともかくユウギリちゃんぺろぺろ(*´Д`)」と思っていただければいいんじゃないでしょうかね。絶チルは<規格から外れた人間><社会の異物>を美少女として描くことから出発しました。萌えは断絶を超え、他者にコミットする突破口のひとつなのです。



 紅葉の回想は、『UNLIMITED』では初めての、原作をそのまま使用したシーンですね。ああいうことが実際に起きていることを考えると胸が痛みますが、パンドラのエピソードとして素晴らしい出来映えです。松田プロデューサーが「ここは原作そのままで! 真木は超カッコ良く!!」とこだわってくれました。

 真木・紅葉・葉の三人は日本人ではありません。名前はひきとってから兵部がつけたもので、でも本名は何なのかとかどこの国の出身で人種・民族は何系なのかなどについては漫画的にボカしてますんで、追求しない方針でよろしくです。都合の良いときだけ人種や国籍がキャラ付けになり、青い髪とか赤い眼の人間もいる・・・それがアニメ・漫画時空。
 兵部は真木のことを「司郎」と呼んでて、ここはシナリオ会議でも私がそうお願いした部分です。のちに兵部が彼を一人前と認める事件があり、そのときから名字で呼ばれることになります。鼻っ柱の強い真木が苦労人のナンバー2になるきっかけでもあるのですが、まあそれはいずれ描く・・・・かもしれない。葉のつけている羽の首飾りについても、いずれ機会があれば。悪夢を防ぐネイティブ・アメリカンのお守り「ドリームキャッチャー」の欠片なんですけどね。



 パティは今回も無口に活躍。少佐の痛ケーキはおそらく彼女の作ですね。あと同人誌頼んだのもたぶん彼女。思うに、ソッチ方面に目覚めてそういうものが存在することを知ったばかりで、やや人目をはばかりつつ楽しむ趣味であるという認識がイマイチなのではないでしょうか(あるある)。
 私は小林沙苗さんのパティ大好きなのですが、いまんとこ喋らないで小芝居してる方が面白いので、台詞はありません。パティは初登場は殺し屋だったのに、なぜか次のOVAとCDドラマでは腐っていたというキャラ。なのでその節は小林さんを混乱させたのではないでしょうか、すいません(笑)。アンリミでは毎回「今回こそは中の人をお呼びしてパティを喋らせるかどうか」を話し合ってまして、ここでも「いや・・・まだでしょう」という結論です(笑)。まーキャラは必要な時が来たらこっちが黙らせようと思っても自分から喋りますので、タイミングはパティ本人に任せましょう。


 完成してから気がついたのですが、少佐の靴下は白(笑)! でも事前にスタッフから問い合わせがあったら何と答えたかと言われるとよくわかりません。喪服だから黒? それじゃオッサンくさい? かといってカラフルなのもどうなんだろう・・・・やっぱ学生服には白かなあ。とりあえず裸足はないな。ご意見あれば受け付けます(丸投げ)。

 お忘れかと思いますが、前作・小学生編のラストの兵部は、残り少ない寿命をあることに使って命を捨てようとしてました。それは思いとどまったものの、このシリーズでは大暴れしちゃってて、アンリミテッド・モードでガンガン寿命削ってます。結果として彼の余命はこのままだとせいぜいあと数ヶ月。この世界が本編に収束するのか、完全に分岐した世界へ行くのか、我々が『UNLIMITED』の彼をどこに着地させるつもりなのか、その辺については曇り無き眼で見届けてくださいませ。


 ここまでのエピソードは「序」、次回からは「破」。終盤の「急」に向けての怒濤の展開になります。お見逃しなく!!