あけましておめでとうございます。『異伝・絵本草子 半妖の夜叉姫』第1巻は1/18ごろ発売です!
「えー、高橋留美子先生が描いてるんじゃないんだー。ちゃんとるーみっく絵で見たかったなー」という方には申し上げたい。
「先生はいま『MAO』描いてはるでしょ⁉︎」
まあ、ファンとして私も同感ではあるんですけど(笑)。
もっと絵柄を寄せることもできたろうとは思います。ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、うちの奥さんは元・るーみっくプロのアシスタントで、高橋先生が好きすぎてとうとう先生のとこに就職しちゃったという人なため、その気になれば模写もかなりできるんですよ。
ただ、そっちに舵を切っちゃうと、絵以外の部分も高橋漫画っぽくすることが重要になっちゃって、私の得意なものや持ち味は二の次になります。「似せて描く」よりも「漫画作品として、自分にできる限り面白くなるよう死力を尽くす」が私の使命だと思うし、もともと限りのある私の才能に縛りを加えちゃうのは作品に対してかえって失礼かなと。
それと、他人が描いた模写って、そっくりに見えても意外と本人は「あーそこを拾っちゃうの・・?」などと思うものでして、たぶん高橋先生は喜ばないんじゃないかなあ。じっさい「ちゃんと椎名さんの漫画になってるから、安心して読者になれる」って言ってもらってますし。ヘタに似せてたら、「いやそこはそうじゃねえだろ、貸しなさい、もう自分で描くから!」ってことにもなりかね・・・あ、それはそれでアリだったか(笑)。
あの世界にはたくさんのキャラクターたちが生きていて、なら、高橋先生とは別の語り部がいるというのも本物の歴史のような趣があって面白いと思うのです。私がこのコミカライズを「異伝」「椎名史観」と呼ぶのは、私があの世界に取材に行って、よそ者の私の目で見た戦国御伽草子を描いたというテイストにしたかったからです。司馬遼太郎が取材を元に、史実と大きく矛盾しないように、でも戦国武将を高度経済成長期の企業戦士に見立てるという自分の切り口で『新史太閤記』書いた、みたいな感じ。
で、私は「それは面白い企画だし是非やりたい」と思ってここまで突っ走ってきたのですが・・・単行本が出る段になって正気に戻って気づいちゃったんですよね・・・「それ、世間ではどのくらいニーズあんの? 売れるの?」って(遅い)。
ただまあ、私は私が面白いと思って燃えた企画しか描けないわけですから、もうしょうがない。私のコミカライズが刺さる、感性の近い同志諸君が少なからず居られることを祈っております。
『異伝・絵本草子 半妖の夜叉姫』第1巻は1/18ごろ発売です!
同志諸君、買ってね‼︎