TVアニメ『THE UNLIMITED 兵部京介』 第六話: 闇、走る -As true as a lie-2013/02/17


『THE UNLIMITED 兵部京介』
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 いよいよ物語は核心に。社会からはみ出した不良少年たちの王国・カタストロフィ号に迫る危機。兵部とヒノミヤの決定的な対立。



 今回、兵部は薫の無邪気な甘さについ「いつまでたっても幼い頃と同じく、皆本、皆本だ! ノーマル共はなぜこうも忌々しく、そしてやすやすとエスパーの心を乱すのだろう・・!」とか言っちゃうわけですが、私はあそこがもう切なくて切なくて、元は自分のキャラだということを忘れて萌え。

 薫は兵部とよく似た道を歩む運命を背負っている、いわば彼の分身です。自分の全てを託せる「女王」との出会いを、兵部は彼女の生まれる何十年も前から待ち続けてたのですよ。そしてその薫はようやく目の前にいるのだけれど、まだ<やがて現れる彼の「女王」の器>にすぎないのです。

 目の前の薫の中の「女王」に手が届かないもどかしさ、かつての自分に対する甘美な痛ましさ、信じてやるにはあまりにも非力で未熟な上に「あの男」を思い出させる皆本への不信、それでも捨てきれない希望。そういうこれまで我慢してた万感がこみあげてきて、今の薫には通じるわけがないのに、気取っていたポーカーフェイスが崩れるのも構わず本音を言わないではいられない
 ていうかなんで私、あんな可哀想なキャラ作っちゃたんだろう(笑)。

 体に限界が来ている痛みと、心の痛みが同時に来ちゃうという脚本・演出がまたクるものがありますね。さらに遊佐さんの芝居が絶妙。必死で自制しつつ、でも抑えきれずにあふれちゃう感情っていう。
 その後のバトルでのサディスティックな態度にも、歪んだ形で思いの一部をぶつける快感があったりなんかして、演出にも音響にも脚本にも作画にも「やられた・・!」感が。私が動かすとあそこまでボロは出さなかったと思うのですよ。私の中の兵部がブレーキをかけますんで。

 あとで遊佐さんとお話ししたとき「あの兵部は、台本読んで私の中に見えてた兵部より、もっと兵部でした!」と一生懸命お伝えしたのですが・・・・まあこのセンセイは遊佐さんの兵部が好きでたまんねえらしいという気持ちだけは伝わったんじゃないでしょうか(笑)。



 ところで、五十嵐監督は繊細な感性とバランス感覚の持ち主で、アンリミにアニメ的につきぬける快感と、映画的な美意識やエロティシズムが絶妙にブレンドされて入ってるのは監督の手腕ですね。
 男性の描写に「エロティシズム」とか言うと「BLかああっ!!Σ(; ゚Д゚)ガタッ」って言う人多いですけど(笑)、実際にはそれは大人の鑑賞に耐えるドラマの中には当たり前にあるもので、そっち方面に大げさに解釈するのが最近のファンの流行りというだけです。

 監督ご本人も「そういうのちょっとわかんないんで・・・」っておっしゃってますし、私も猪爪さんも「いや同感ですよ」と。
 むしろ我々みんなガンダム好きなんで、打ち合わせでは「ガンダムにたとえると」とか「ガンダムならこうなる」みたいな男らしい話が多いです(男らしいのかそれは)。

 だからたとえば2話でヒノミヤがリミッターを受け取るシーンの演出では「あそこは最初芝居が淡泊だったんで、リテイクしたんですよ。『もっとねちっこく、吐息がかかるカンジで!』って」「ですよねええええ!」みたいなことはやってますが、そこは別に、特に女性向けだとかそういうことでは全然ありません。敵同士であることを偽り、互いに化かし合っている二人の間に、虚実が混じりながらも絆が発生するというシーンですから、映像言語として当然そうあるべきだということです。

 というわけで(?)EDは男祭りパート2、兵部・ヒノミヤ編。こっちは若干女性ファンを意識してると思うんですけど、まあ曲も歌詞も映像もカッコイイからいいでしょう、デュフフフフwwww。CD買ってね!



 さて、今回はひじょうに気になるヒキで終わっているわけですが、あのラストに関しては当然キャラの内面の解説とか一切しないしできません。そしてあの続きにはものすごい展開が待っております。いや、大げさでなく、かなりキてます。で、その状態でいったん物語は過去に戻るじらしプレイ

 漫画を描いた身としては、「一回やったことをもう一度やるよりは何か新しいことをやりたい」という気持ちと、「自分の描いたものがそのまま巧みに映像化されるところを見たい」という気持ちの両方があります。超能部隊編は思い入れのあるエピソードで、それをひじょうにいいフィルムにしていただきましたんで、原作ファンも未読の方もぜひぜひ楽しみにしててください。前後編で2話分です。今回の続きはそのあとってことで・・・・ものすごいことになるんですけどね!



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