メビウスの輪:少年サンデーS 2023年/2月号 ― 2022/12/24
『異伝・絵本草子 半妖の夜叉姫』単行本1~3巻、好評発売中です!
担当に指摘されて気づいたんですけど、せっかく冒険の目的と旅の目的地をダブらせる設定を導入したのに、それを一度も図にしてませんでした。劇中でそれなりに描写したり言及したからわかるだろうと思ってたものの、地理に疎い人にも一目瞭然にするのが漫画のホスピタリティ。で、急遽トビラ絵をロードマップに差し替えました。
楓の村・退治屋の里・屍屋はそれぞれ、練馬・調布・品川あたりだと私は推測してるんですけど、地図では練馬・八王子・小田原あたりになっちゃってます。これはまあ縮尺の都合と、地点の正確性よりも旅の進捗イメージを優先したためです。たぶん正確な場所は原作者含めて誰にもわからないと思うんで(笑)、「学術的には解明されていない歴史の謎を、コミカライズが創作で埋めた」的なアレだと思っていただければ。いまんとこ暫定的なゴールは理玖が提示した堺になってますが、時代樹が行けと命じていた最終目的地「西の果て、日の本の大地尽きる処」はいまんとこ九州、五島列島と考えてます。遠藤周作の『沈黙』の舞台ですね。
じゃんけんのような三つのジェスチャーで勝負する遊びを「三すくみ拳」「虫拳」と言います。起源は大陸で、 本編で触れたように平安時代にはもう伝わっていたそうです。遊ぶ際の細かな作法やかけ声に関しては資料が残ってなくて、「リャッケンホーエ」は私の創作。元ネタは仏教語の「料簡法意」という言葉で、「じゃんけん」の語源なのだとか。意味はざっくり「御仏の真意を考える」なので、「神さまの言うとおり!」ってニュアンスですかね。
正体を現した敵はアニメにも登場した「常世の虫」。コミカライズの是露さまを虫の化身としたことを踏まえ、頭部のデザインをちょっとリアルな虫に寄せました。アニメ原作とは違うけど類似した状況で、未完成ながら「所縁(ゆかり)の断ち切り」に覚醒するせつな・・・進行の都合でコミカライズでは武器強化イベントは省略し、キャラの成長に伴って武器も自動的に変化していくという方針です。てことは残念ながら刀々斎さまは出番がないかなあ。そしてこっちの世界の是露さまの杖は、ブラックホール的なものを発生させる兵器だと思われます。冥道発生装置的な。
覚醒したりおんちゃんはアニメよりも気が強い感じですが、休眠状態の幼女感と合わせて混ぜると原作に近いとこに行く感じを狙ったというか。麒麟パパや是露おばさまのアカンとこを、アニメ同様容赦なく言語化してぶった切っていただく予定。
これからしばらく是露さまの過去や虹色真珠の由来、犬夜叉たちが失踪した顛末など、この物語の心臓部に踏み込む展開となります。やることが多いこのあたりが一番構成に苦労しそうですが、とわちゃんたちが早く両親と再会できるようがんばります。
ではみなさま、良いお年を。