TVアニメ『THE UNLIMITED 兵部京介』 第十一話: 嵐の中のふたり -OUTLAWS-2013/03/23

『THE UNLIMITED 兵部京介』
公式サイトはこちら

 残りあと一話です。1クールはやはり短いなあと思いますが、この調子で2クールやったらスタッフがたぶん死ぬので、今回の制作体制ではこの辺が限界だと思います。私自身が中・短編が好きな体質なので、このくらいの分量でピリっとした作品はたいへん嬉しいです。・・・・まあもちろん収入的には長ければ長いほどウェルカムなのですが



 さて、最終回へ向けての最後の仕込みの回なわけですが、今回の見所はサイケOP日本刀持ってる兵部ですね! 

 日本刀登場の影には「学ランで銀髪で超能力者で永遠の少年で・・・・あと足りないのは日本刀ですよ!」と最後まで主張し続けた原作者がいたようないなかったような。9話のエネルギーソードでかなり気は済んでたのですが、でもやっぱり似合うよね(笑)。

 サイケOPは「サイケwwwwそれがNYクォリティwwww」と爆笑しました。いやカッコイイし笑うトコじゃないんだけど、スタッフのモチベーションの高さと仕込みが嬉し楽しくて、OPとEDは毎回アレンジがあるたびに笑うという。かなりの手間と労力だと思うので、マジでご苦労様です。ホント毎回楽しませていただきました。

 ちなみに「地名・国名は変えているはずなのになんで<ニューヨーク>はそのままなんですか」って気になる人がいるようですが、別にいいじゃねえか。東京だって東京だし。
 都市名は元々原作で「ニューヨーク」として登場してて、国名だけ「コメリカ合衆国」になってたんですが、アニメに「ロビエト連邦」というのが登場したのを受けて、その後どんどん悪ノリして固有名がアレなことになったという経緯があります。あとNY暴動は原作バッドエンドのクライマックスに直結する事件なので、ギャグ色入るとどうかと思うし。いやでも前作アニメでは名前ちょっと変えてたっけかな・・・? ま、細けえことは気にすんな(笑)。


 ユウギリは原作に登場する死の商人「黒い幽霊(ブラック・ファントム)」製のクローンエスパー、そのプロトタイプです。ベースになったのはとある兄妹なのですが・・・・原作読者の方は<ユウギリ>という名前から、それが誰かはだいたいおわかりですね(笑)。多少の不整合はあるものの『UNLIMITED』は原作で描かれざる絶チルの一部であり、完全に地続きだったってことです。

 早乙女生存シナリオに関しては、おそらく原作漫画本編でやることはないと思います。でもそれは「あんな話はない」ということではなくて、原作のカメラが回ってないところで早乙女と兵部の二度目の対決があった可能性は充分にあります。ただアニメでやったことをあらためてもう一度漫画で描く必要はなかろうっていう。そもそも漫画の小学生編と中学生編のスキマに収まる外伝というコンセプトで、松田Pと猪爪さんが作った物語だし。
 ヒノミヤとユウギリの活躍の場は『UNLIMITED』の文脈の中にあるわけですから、彼らのファンには申し訳ないけれど原作漫画本編にがっつり登場する可能性は薄いと思われます。とはいえ私もあの子たちのことは他のキャラと同じように愛おしく思ってますので、いい機会があればゲストで登場したりしてもらえるといいなとは考えてます。もし絶チルのラストシーンに全キャラのカーテンコールがあるなら、そこにはヒノミヤとユウギリの姿も加えてやるつもりです。



 決戦の舞台は「過去との対決」を暗示する冷戦時代の兵器の墓場。絶体絶命な状況でのヒノミヤと兵部のやりとり、兵頭さんの書いた台詞には深みがあって素敵。意訳すると「他のことはともかく、お前にウソをついてたことだけが悔やまれる」「気にすんな、お前と会えてよかった」つってるわけで、いわばここがこの二人の関係の到達点。

 ただ正直、この回はディスク収録前にいくつか映像の修整案を私の方からも提出するつもり。特にあそこは二人の心象にピントを絞るべきで、背景の空間や時間を意識させちゃいかんと思うのですよ。具体的には「テレポート妨害チャフを振らせたのは兵部とヒノミヤを舞台演劇的空間に配置するためだったのに、空気読んで待ってる大量の戦闘ルンバ(通称)がパンフォーカスではっきり見切れちゃいかんだろう」という(笑)。

 まーぶっちゃけ制作サイドには台所事情というものがあります。そして私の仕事は「原作の良さを調整して取捨選択すること」次に「プロジェクトを支援すること」「イレギュラーな広報役」です。だからこの場で私が「あそこはちょっと・・」とか言うのは反則なんですけど、『UNLIMITED』は品質のアベレージが高く、ディスクの売り上げは今後のためにもひじょうに重要。だもんで今回はお客さんへの「品質上げるから期待してて」っていうアピールね。


 スタッフのこの作品への思い入れはOPのアレンジの数々なんかからもビンビン伝わりますが、先日の最終回アフレコでは「もうこれが最後だ・・!!」ってことで、最後の数分ギリギリまで関係者みんな粘って台詞の変更を考えたりして、役者さんたちに「なにやってんですかwww」と呆れられました(笑)。

 アンリミでは私も含めた関係者全員が、オリジナルの絶チルと兵部たちを「どこかに本当にある世界」と考えていたフシがあります。だからみんなで寄って集って自分のこだわりを込めつつ、でも「『THE UNLIMITED兵部京介』のあるべき姿」は自然に生まれた感じ。作品それ自体が最初から魂を持ってて、我々はそれをただ掘り出した、そんな感覚ですかね。
 もちろんそういう体制を作ったのはプロデューサーだし、脚本は毎回のたうちまわってたし、時間なくて現場は死屍累々ででも品質上げるために監督はかなり追い詰められてたし、作るの楽だったとかそういうことでは全然ないんですけど、作品そのものはとても幸福な子だったと思います。



 というわけで次回最終回!! 見てね!!


コメント

トラックバック