まったく清らかな関係です :少年サンデーS 2022年/9月号 ― 2022/07/26
この二人の間になんかあったとはぜんぜん思わないんですけど(笑)、<命令に疑問を持つ渾沌にエロく詰める是露さま>という絵面をひらめいたとき「あ、これだ!」って。この絵だけで<王の不在に家臣を魅了して操る危険な女>って暗示になるし、少ない手数で<ロマンチストな騎士・渾沌><その兄をサポートするツンデレ窮奇>という、ちょっと面白いキャラ立ちに誘導できます。
渾沌と窮奇が兄妹というアレンジは敵キャラの重心を渾沌に絞り込むためでしたが、是露様のアドリブのおかげで三人ともがなかなかいい人物像にもなった感触です。物語を作る人にはわかってもらえると思いますが、いいキャラというのは描き手の意図しないアドリブをひょいっと加えてくれることがあります。脚本の隅沢さんやキャラデザの菱沼さんがこめた魂、お借りしてる私のところでもそんな仕事をしてくれるほど活き活きしたものだってことではないかなと。
ここまでが単行本第3巻収録。物語全体を三幕構成で考えると、第一幕終了ってところですかね。次回からの第二幕では是露さまを軸に進めたいと思います。
コミカライズ時空における犬夜叉夫妻の状況を開示した終盤の展開はいかがだったでしょう。あの二人、実はりんちゃんの隣にいたという衝撃の事実(笑)。冒頭の牛車のくだりと同じく、ここでもキャラクターを一カ所に集中させ、物語の進行を早めております。3人一緒にいればまとめて救出できるわけで・・・じゃあ全員黒真珠の中にいてもいいんじゃないかって案もあったんですけど、まあ「真珠」が二種類出てくるのはややこしいし、こっちの方が風情もあるかなと。それに外から見ると眠ってる体ですけど、コミカライズ版の設定では彼らは・・・おっと、この先はまたのちほど。
この世界線での「救出」がどういう形になるのか、何をどこまで救うのかは今後の展開をお楽しみに。