ツンデレの女王 :週刊少年サンデー08/24号2008/05/02

 次号に休載をもらったので、デフコンが1から2に下がりました。まだキューバ危機なみ(笑)。
 
 今回は薫の幼年期にひとつ区切りをつけるエピソードでした。澪は薫の<シャドウ>で、彼女の分身で可能性の一つです。でも実際に薫の将来に重要な影響を与えるキャラだったのはちょっと意外でした。

予想以上に長く連載させてもらえて、トドメにアニメにもしていただけたことで、作品に何かが起きつつあります。26号からの新エピソードは<暫定最終回>になりそうですので(笑)、単行本派の方もしばらく本誌読んでいただけると嬉しいです。まだどうなるかはわかりませんが、予想通りにコトが運ぶと、ラストはみなさんちょっと驚くかも。
 
 
 さて、アニメでは主にシナリオの監修をやらせていただいてます。修正をお願いしたり、シーンを書き加えたり。
 たとえば第一話なら、<パスワード『ソロモン』>とそれに関する<皆本の優しいフォロー><ツンデレ薫>あたりがワタシの提案です。二話の<薫の臨死体験>なんかも原作では皆本の視点を重視してカットしたけど惜しいと思ってたパーツで、アニメには入れてもらいました。三話でこぼれた<トンネルの誘惑>はシリーズ後半のどこかでそのままやってもらえないか交渉中。
 
 先週の第四話は、ふでやすさんのシナリオがあんまり面白かったので、ワタシはほとんど何もしてません。「三人羽織は無理がないか」と言ったけど、監督は「いや、アニメではいけます」ということで、却下。絵の可愛さもあって、確かに心配したほどの違和感なくて納得です。あと薫の「もう逃げないのかい~?」は原作でちょっとヤリスギたかなと思ってたので(笑)、PVのときから「表情をもーちょっと抑えませんか」と腰が引けてました。でも加々美さんも川口監督も「いや、これでいいのです」「声が平野さんだから大丈夫ですよ」とのことで、実際その通りでしたね。元々は自分で描いたわけですから、くやしいようなうれしいような。
 この回ワタシが手を出したのは谷崎の「また一歩理想に近づいた!」というひと言くらいですね。元々のシナリオではナオミのキレっぷりの描写に意識が向いてて、谷崎と変質者が二人で喜んでたので(笑)、「締めは谷崎の台詞にして、彼の業の深さにスポットを当ててほしい」とお願いしました。
 ナオミのエピソードを二本合体させたのは西園さんの構成案が元になってます。<万引き疑惑>のネタは後ほどあらためてやることが決定してますのでお楽しみに。
 
 そんなカンジでワタシも共犯になって楽しんでます。基本的には極力脚色を活かす方向で作業しているので、ある種の化学反応も生まれているのではないでしょうか。ではまた、日曜日に。

アニメ第五話2008/05/04

アイキャッチは毎回加々美さんの手が入ってます
 今回は世界観を整理して説明する話でした。<普通の人々>は大人の事情で他作品のコスプレが禁じ手になって(事情もくそも最初からわかってたんだけど(笑))、そうなるとかなりリアルにイヤな奴らになっちゃって、使いづらいんで最近はあまり原作に出してません。ただ、序盤ではけっこうチルドレンを取り巻く状況に関わってくるので、アニメでも登場する予定。決めゼリフ「我々はフツーだ!」は結構好きなので、楽しみにしてます。

 教科書に書いてた名前は声優さんに書いていただいたそうです。平野さんは習字をやっていて、実はひじょうに達筆なのですが、薫の字なのでわざと子供っぽくしてもらったのだとか。またひとつ萌えポイント発生(笑)。

 声優さんといえば、製作が始まってからはキャスティングなんかにはほとんど噛んでいません。最初に方向性を打ち合わせて、だいたい理解してもらったということで製作サイドを信頼してお任せしているのです。始まっちゃってからはシナリオチェックでもう手一杯。

 で、完成DVDをいただいて次回の予告を見て「ちさとちゃんの声かわいいな!? どっかで聞いたことあるような・・」と考え込むこと小一時間。お名前は聞いたかもしれないんだけど、声優さんに詳しくないのでその場で誰だかわかんなかったりもするし、自分の<ダメ絶対音感>にも自信がない。気になって気になって、とうとうアフレコ台本を引っ張り出してチェックして「ああ!この人か!! ・・・こ、これは嬉しい!」。まーワタシ以外の人は一発で識別したと思いますが(笑)、来週をお楽しみに。

 ちなみにとある声優さんの「・・・別れよっか」という台詞で、飲んでたコーヒー吹きました(笑)。言い慣れてると見たがどうか(笑)。あと、テレビ東京では携帯サイトのCMが。個人的にはパンドラサイドに入りてえ。遊佐さんに釣られました。

アニメ第六話2008/05/11

ピッカピッカの♪
 東野くん役は佐藤利奈さん、ダブル・フェイスのほたると兼ね役です。うまいなあ。ちさとちゃんは福原香織さん。そのうちちさとちゃんには薫とチョココロネを・・・いやなんでもない。

 シナリオは赤星さんでした。こっそり『ネクサス』の台詞が混じってたりしましたね(笑)。あと、<光学迷彩>というのはたぶん士郎正宗先生が元祖なのですが、<オプチカルカムフラージュ>という名称は『ウルトラマンネクサス』で渋谷プロデューサーが編み出した言葉(笑)。無断使用だったのですが快く許してくださったそうで、ありがとうございます。孤門や姫矢と撮ってもらった写真、送ってくださいね~。

 コンテ・演出はワタナベシンイチさん。外連味のある演出(とご本人のキャラ)でアニメファンに知られる方ですが、ツボを押さえた情感の描写なんかも素敵です。今回は教室の後ろに貼りだしてあった習字の文字がカットごとに違うとか(笑)、あの辺もナベシン演出の味なんですけど、ワタシ的にはちさとちゃんと東野の思い出のシーンなんか好きだな。目線を常にちさとちゃんに合わせて、すごい丁寧に構築されてます。

 局長の最期は何度見ても爆笑です。小杉さんの芝居がまたイイですよね(笑)。ちなみに「お前が歌うんかい!」はワタシが駄々をこねて入れてもらったネタです、すいません(^_^;)。ツッコミ入れてた役者さんたち、みんな若いけど元ネタ知ってたかなあ。

アニメ第七話2008/05/18

自分のキャラに萌えてしまった(笑)
 薫の「サイキック・イージス・シールド」、名前は「あたしは強いもんフィールド」でもよかったかな。略してAT(以下自粛)
 
 悪役の金光宣明さんの声が魅力的です。
皆本が受けた拷問は、シナリオでも原作を踏襲して<おばちゃんの長電話>だったんですが(笑)、サスペンスの流れを維持するためと尺の都合でカット。
今回はワタシがコメディー描写に待ったをかけちゃった箇所もいくつか。たとえば原作の<ヨミとバビルのコスプレ>というのは元ネタわかんない人がほとんどだろうし、キャラが強すぎてアニメにはバランスが悪いように思ったので。代替案を思いつかなくて結局おまかせになったんですけど・・・あれにもなんか元ネタあるのかな? ごめん、もっとわかんなかった(笑)。

 そんなこんなで演出もシリアスに寄って、「マジョリティーの残酷さ」にフォーカスされた、緊張感のある物語に仕上がってましたね。原作では例の予知を見ているため<超能力の抑止>についても思うところのある皆本ですが、アニメでは心から薫を信じて、迷うことなく子供の側に立って戦ってます。この皆本もイイなあ。
 
 紫穂が「普通の人々」にすごむ台詞は児童虐待への憎しみを込めて書きました。怖くてたまらないからこそ相手を威嚇する紫穂と、恐怖心と向き合うことができずに冷静を装う葵との対比も気に入ってます。アニメでは戸松さんと白石さんの声がホントに素敵で、キャスティングの成功をあらためて強く感じたシーンです。あと、最後に泣いている薫には原作者なのに萌えてしまいました。これも演出・作画に加えて声の力が大きいです。平野さん、可愛い・・完全に子供の甘え泣きでしたね。う、うますぎる。アヤ、おそろしい子。
 
 ところで中尾衣里プロ。奈津子は・・・奈津子は・・・確かに酔っぱらうとそんなテンションの女かもです(笑)。

皆本不在 :週刊少年サンデー08/26号2008/05/21

皆本不在
 「暫定最終回」スタートです。アニメではシリーズ通しての組み立てを全部先に決めてしまうので、どのエピソードがラストなのかはもうだいたい決まってます。で、そこに追加するアイデアをいくつか考えてるウチに自分でやりたくなったので、最後はそこに着地する予定。
 
 さて、休載明けにもかかわらずスケジュールはかなり危険な状態なのですが・・・近日行われるアフレコにはなんとしても行かなければなりません。その日は鶴ひろみさんと、もうお一人スペシャルゲストがいらっしゃるからです。ご挨拶して十五年前のお礼を言いたいし、ファンとしてもこんなチャンスはそうそうなくて、次いつまたお会いできるかわかりません。『チルドレン』のキャストの方々とも仕事でつながっていられるのは今だけ。みなさんすごい輝きのあるタレントさんですし、お仕事している姿を見るだけでもエネルギーをもらえるんで、今だけの特権としてなるべく多く通いたいとは思ってます。つーても結局まだ第一話に行ったっきり。
 
 今のレコーディングはデジタル。素材の切り貼りが面倒だったアナログ時代と違って、台詞ひと言ごとにストップしてその場で演技指導や録り直しが可能です。結果、スタッフの解釈が反映されやすくなってます。役者さんに伝えるためには当然論理的に言語化しますので、その演技指導を聞くのはものすごくキャラ作りの勉強になります。『チルドレン』は音響スタッフが超・優秀で、その分レコーディングも手間と時間がかかってます。先日の紫穂の脅し文句なんかも、戸松さんはなんども録り直しなさったそうです。他のテイクも聞いてみたいなあ。
 
 戸松さんに限らず、声優さんは可愛い外見からは想像できないほどタフな方ばかりで、厳しいリテイクにも平然と食らいついて行くのがまたカッコイイ。みんな若いし、そういうときは半泣きになったりするのかと甘い想像をしてたんですが(笑)、厚い層の中から抜きん出てきた方ばかりですからね。若くても筋金入りのプロフェッショナル。「それが当然」とか言う人もいますけど、ワタシは素直に感動したいと思います。